松本式突起型棍棒製作篇 ‹‹ ラブタコス戦記080224 ›› ワンフェス出場停止報告 ダウンアイコン
 “もう(版権)ネタねえしなぁ”という消極的態度で望んだ今回のワンフェス。「参加毎に新作を」の自分縛りを納得させるために作った「松本式突起型棍棒」も予想を下回る音量しか出なかったのでなおさらである。
 だがイベントという再現不可能なライブには、個人の思惑など横並びの鯉のぼりほどにも役に立たないシロモノだった。ライブとはそういうものだし、だからこそライブの価値がある。2次情報でワンフェスを語っても思い出は生まれないのだ。
開場直前 開場直前のブース上。ちょっと寄りすぎて全景写したものはナシ。残念。
 7時半に新橋からゆりかもめでビッグサイトへ。8時に入場。前日設営もやっているのにポスターや値書きポップの切り出しでもたつく。にゅうにゅうちゃんと松本メーター、松本式突起型棍棒のアイテム3種とインフォメーション用の5枚ぽっちでオロオロ……連日の夜なべ作業で疲れ切っているためである。スケジュール管理のできない人間ならでは。情けない。
 「八広ディーシィー」のあげだし氏に届け物をし、ダッシュで戻るときに自宅と会社の鍵を落とす。付近のディーラーの人達が教えてくれて事なきを得る。ありがとうございます。もたもたのままブース完成度7割程度でワンフェスを迎える(全景写真撮る間もなかったのはこのため)。
開場ダッシュ  10時開場。配置がB06—05という入場ゲート付近のため加速する人の波を間近で見る(ひとりコケた)。まぁウチには関係ない人の流れではある……
 だがココにはもうひとつDダッシュという流れがある。意外や棍棒はディーラー受けが良かったのである。これはびっくり。10時45分には棍棒、メーターと共に完売。ラブタコス史上最速のスケブ殴り書きが実現。しかも、にゅうにゅうちゃんまで受け入れられ16時30分には完売。全部なくなって閉会のアナウンスを迎える。“何だ今回のワンフェスは!”と驚く事しきり。まさかおっぱいアイテムまで……いや、いいのか?ワンフェスなんだから。北宋の壺を買ったという人や“昔デスラーのグラス売ってた所があって”とか“ガンド・ロワを会場で組み立ててた人でしょ”というような覚え方をされてるのには苦笑。弱小ディーラーにも歴史あり。
閉会間際
3D棍棒&メーター 二つの画像をダブらせて見れば浮き上がってきます(平行法)
 卓上の流れはこのような次第。まさにイベントは終わってみなければ判らない。以下はメモ書きと記憶を頼りに個々のエピソードを書き出してみる。この部分で楽しめなければワンフェスはタダの物販会で終わってしまうし、出展物の中にどれだけ立ち寄ってくれた方と共有できる情報があったのかが伺える。
 なお今回も岩手のコスモゼロマスター、エス氏に協力していただき大いに助かる。記して感謝の意を。ありがとうございます。この御礼はいずれ二次元的にごにょごにょごにょ……(以下の立体写真やブース点景はエス氏撮影によるもの。重ねて感謝)
松本アイテム覚え書き
棍棒&メーター  松本メーターは今回も好評で一安心。手流し・自家塗装によるバラつきを確認してもらうため、前回はパッケから出して好きなのを選んでもらっていたが、今回ブース設営が押してパッケのまま出展したのが悔やまれる。興味もたれた方にはメーターの文字盤原型である印刷用樹脂板の説明をする。シート状の光効果パテが発売されればある程度樹脂板技法の受け皿にはなると思うが、モールド対象の再現性やヌケ具合に関しての技術が整備されていない現状ではまだまだ有効な手法である。
見ようとしていないから見えていないとかアニメは漫画ではないという話
 さて、棍棒。松本作品のいたる所に登場するので認知度は高い。実際は出てこないが“サケザ〜ン!”とか“ヤロ テメ コロスど〜”と反応してくれた方もいて、立体化も無駄じゃなかったと思う。言わなくても判るだろうという暗黙の了解が成立するあたりが版権モノを扱う醍醐味であろう。
 先に書いたディーラー受けがいいという部分。一番印象に残ったのは“松本好きといってもアニメの方ばかり”という苦言を呈されていた方。本ブースを見つけてくれた友人のイラストレーター氏と一緒にしばし漫画家・松本零士談義を楽しませてもらった。玉ゲタの話題でもすんなり通るのが嬉しい。
 カラー資料に当たれなかったまま塗装した棍棒のカラーも問題ないと言われて一安心。メーターの本領はやはり凹だろうという共通見解にうなずき、ふすまの取っ手部分は規格サイズならイケるのではという新しい視点など提供してもらう。棍棒つながりで思いもつかなかったアイテムの提示なども飛び出し、前回のイベント同様、松本の遺伝子を濃く受け継いだ先達の凄さをまた教えられる。
 “(松本アイテムの)鉱脈はまだある”という名セリフにも説得力があった。こういう出会いが実に楽しい。場が高揚する。この空気に身を置ける事がワンフェス参加の恩恵。また上記と相反するかのように、出典を知らずとも盛り上がってくれる方々もいた。さすが松本様式、形態そのものの魅力は万人に通じるのだ。
フリフリ姉さん もっともノリ良く振ってくれたフリフリ姉さん
 おおむね男性より女性の方が威勢よく振ってくれる。なまじ模型を知っている男性ほど使う模型であっても触る、ブン回すという事に抵抗があったのやしれん。これでマラカスとしての性能が高ければ言うことはなかったのに……
確かにこれは武器なのだ
 購入された方には必ず“暴力行為には使わないように”と念を押した。形態が本能を刺激するためか、本来の使用目的を実際に……という危険な香りが製作中に漂ったせいである。
 コスモゼロマスターの作例を通し、コスモゼロは戦闘機という概念を実体化させたものという見解を得たのと同様に、松本様式の棍棒はぶん殴り兵器の概念を見事に表現している。トゲの有無でこうも衝動が揺さぶられるのかという事実。突起というモチーフを使いこなす第一人者、松本零士の奥深さはキャラやメカ以外にも行き渡っている。
 模写でも立体に起こしてもいい。オリジナルの魅力はなぞってみればより判る。手を動かせばより一層作品に親しめるのはいうまでもない。なぞるという追体験もせず、上から目線で評価する輩に作品とのキャッチボールなど一生縁がないのである。

にゅうにゅうちゃん覚え書き
にゅうにゅう3D これも目のピントいじってれば浮き上がってきます(ちょい弱いです)
 これもなんかウケが良くって座を持たしてくれた。中でも乳好きを公言するの女性3人組が印象深い。ディスプレイモデル見て“ピンクの乳首は男の永遠の憧れなのね”とかなんとか言ってやっつけモデルをエロフィギュアとして扱ってくれる。婦女子に嫌われるのは不本意なくせに女性蔑視モデル出展する引け目も少し昇華した気分である。
 最後の1個は以前“作らないけど下さい”と言ってペパクラ版ガンド・ロワを買っていただいた神々の中のお一人が購入された。3ヶ月かけても仕上がるか判らないペパクラモデル買った神に、20分で仕上がるワンパーツモデルのフィナーレを飾ってもらったのも縁であろう。
さぷらいず
棍棒パッケ  13時50分、「MFLOG」の撮影ブースに行き、棍棒を撮ってもらう。さすがトイズプレス、MacにはFSSのマウスパッドが使われていた。キッチリ組まれた撮影台でプロのカメラマンが撮る光景を間近にできる機会はそうないので新鮮。居合わせた編集長の中の人の計らいで、棍棒のみならずパッケも撮影してもらった。これは生業的に嬉しい限り。ガレキを核にパッケやディスプレイ製作込みでのディーラー活動ってものを少なからずすくってもらえた気になる。
 “よくあんな(デカイ)もの送ってくるな”と、ガンド・ロワ作ったディーラーで記憶してもらっていた。そして“富野さん驚いてんじゃないか?”との言葉が。

は? 何ですと??…………見てるのか!

 確かに「MFLOG」に監督のエッセイが載ってるし掲載誌の資料として「WFLOG」に目を通している可能性はある。そーゆー事がありえない訳でもない。不確定であれ、ガレキという形の声が原作者へ届いたかもしれないと思えるのはなんと幸福な事であろう。アマチュアディーラー冥利につきる情報をWF会場内で得ることができたのも、今ここに足を運んでいるかである。ディーラー活動してるうちは現役オタクを標榜しても恥じることはない。
まるでワンダーなフェスティバルじゃあないか、このイベントは
ラストショット  毎回立ち寄ってくださるプロ原型師の方によると外は突風で立木は倒れ、女の子はケガをし表面積の広いコスプレさんはあおられまくる悪天候であったという。外はおろか会場見て回ることもなく「MFLOG」の撮影で席を外した20分ほどを除き、自ブースでしゃべりまくっている以外にイベントの記憶がないのいびつな参加状況、これは100%自分の裁量で用意したものをブースでお披露目する醍醐味が優先するためである。
 それを成立させるのが売り子や写真で記録を残してくれる熱きモデラー氏の協力であったりブースに立ち寄ってくれる方々のおかげなのは言わずもがな。なけなしの労力が一方通行に終わらないだけでとてつもなく幸福な事。
 造形の匠を競い、高みを目指す本道の志がガレージキット・スピリットというのだろう。展示されたアイテムで互いの共通項を感じつかの間のコミニュケーションに一喜一憂する中年デブオタのヌルディーラーはWFの熱量を下げる側やもしれぬ。そんな存在でも“オタク心満載での参加が許される場で、自分の嗜好をさらけ出す事は気持ちいい”って事は断言できる。ディーラー参加は格好の体験スポットなのだ。
 アマディーラーでの参加は誰にも責任とらなくていいとゆー強みを活かしこちら側でのイベント参加を願ってやまない。少なくともダミー参加よりはるかにWF温暖化の一助になる。出会いと別れ、喜びと落胆がもれなくついてくるのは確かだが、自分の手に運命のハサミと糸を握ってる自覚を持てるのは、その、チョイとしたもんである。
 本来ならここに今冬参加時の主なコスト一覧を載せる予定だったが、HD臨終に伴うデータ消失によって不可能になった。レジンキャストとシリコーンゴム、エアブラシとマラカスがコストの大半、概算でおよそ6〜7万円といった所。とても人に言えないようなバイトがんばってケータイ手に入れるよかリスクは少ないとゆーものである。
 当ブースにて“(棍棒の)次を期待してます”とコメントした方がおられた。すみません、期待されるような対象はもうないです(08年4月現在)。立体化にいたるモチベーションは記憶の刷り込み度に依存しているので、世間一般に知られている作品から自動的に浮かんでくるアイテムは打ち止めである。
 今夏WFはもっとプライベートな対象や、自分本来のスキルが活かせる出展品で世界最大の造形イベントに参加できないだろうかという姿勢で活動……いや、まだスケッチすらしてないし、今頃レポ上げてるし具体的な行動が追いついてないので説得力がないな。
 すべては大きなビグ・ザムの下のコンクリ敷きの床とパイプフレームの無機質な屋根に覆われた殺風景な空間がギュウギュウの熱気に満たされるあの場所で判断される事。それまでのアプローチ、あてにならない低速モードの報告をゆらゆらと待たれよ。
(2008.4.6記)
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