ラブタコス戦記100725 ‹‹ 浮遊大陸製作篇 ›› ラブタコス戦記20110206 ダウンアイコン
 ラブタコス18回目のアプローチは「浮遊大陸(宇宙戦艦ヤマト)」。モチベーションとかポリシーの問題ではなくなっているから恐ろしい。あえて言えば大陸下面の岩盤突起が松本様式の再現対象となるから……“な、なるんだからね”な心境。
 複雑な工程もないので次の更新で完成版お披露目となるであろう。いや、そうありたい!レジンキャストやシリコーンゴムの量など考えずに楽しく作っていいじゃないか。ウン。
2010.8.21 sun〜9.4sat スケッチ
スケッチ メモ帳より 何枚描いてもシルエットの変化は少ない。他のスケッチに“松本突起の集合体”というメモ書き。下方からの眺めを一番気にしているようだ
 最初のスケッチは列車の中。『時をかける少女』(2006)観るための県外移動から続く慣習。今回は『カラフル』を観に行く車中でのスタート。劇中での浮遊大陸は様々な角度から描かれている訳ではないので、横からのシルエットが一番印象に残っている。そこを軸に大陸の隆起を想像していく。
 今回あまりスケッチが増えなかった。立体化することへの熱量が低い事の現れである。手を動かす意欲へ補充できるのは、どう作るかという技法への興味。これしかなかった。
2010.9.10 fri〜9.20mon ミルフィーユ原型
作図
作 図 上2枚が上面パーツの割り出し、下2枚は下面パーツのおおまか割り出し図。上面パーツの太線は河。設定図にちゃんと指示してある。大陸だもの
 今回の対象は大陸のため、地形図モデルみたく等高線ごとに板を重ねて立体を起こす方式を試してみる。地表0メートルの平面図を決め、地表の高低を想像して等高線を描き込んでいった。頭の中に3Dのビジュアルがあったわけでなく、1本ひいては次の線を適当にぐにょぐにょ引いていく。高低差が表現できればいいくらいのイージーな気持ち。
 大陸上面に関してはこのやり方で行けると踏んでいた。しかし下面の方はこの方法がとれない。突起の数が多く、煩雑すぎて脳内の妄想処理能力が追いつかないのである。そのため最大サイズの突起を頂点とし、粘土の突起を植えていく方式にする。この時すでに、突起の形状を整えかつ突起同士の間をスムーズに繋げるにはどうすればいいか問題になることが予想されていた。
 なにせ細かい作業が苦手で、ミリサイズの突起に表情をつけきれる技量が足りなさすぎるのだから。
2010.9.20 mon〜9.23 thu 積層開始
等高線貼り 積層紙原型 1ミリ厚のボール紙を20層チョイ貼り合わせての大陸ベース作り。ボール紙は総統グラスのパッケに用いて余った部分を使用。経済的にお得な素材となった。下面パーツとの合体面となる標高0メートル部分はゆがみを押さえるため、2ミリのイラストボードを使用
 コピーした作図データをボール紙に貼って1枚づつ重ねていく。下から上に貼っていく際、切り出し誤差と貼り込み誤差は当然発生するが気にせずどんどん貼っていく。地表のニュアンスは石粉粘土をかぶせた時につけるから気が楽。
 面倒くさいと思ったがやってみるとサクサク進むのでストレスがない。予定はないものの他の立体物にも応用が効くやしれん。
2010.9.25 sat〜9.26 sun 積層大陸〜コーティング
骨組み 盛付原型 盛付原型 暫定スタンドは複製で失敗した総統グラスの脚部分。これを改良してスタンド原型にする予定。河線部分は実サイズだとかなりの急流になると思われる。河には何が流れているのだろう?
 こうして組みあがった積層原型に薄く伸ばしたファンド粘土を被せて段差をゆるやかに繋ぐ。下面は被せた粘土面に手ごねの突起を無作為に刺していった。
 失敗したのは河のライン。積層ベースにスリットを切り込んでいたが、ファンド粘土を貼ったら溝が埋もれて元の木阿弥。型紙あてて上からなぞっていく始末。もっと薄くして貼るべきだった。
 版権申請の時期が迫っていたので電気ストーブで強制乾燥。内側生乾き状態のままライトモデリングペーストを塗って表面の凸凹を出す。上面は当初通りの仕上がり。下面はただ突起をつけただけの急場しのぎ。ちょっと慌てすぎの原型組み上げで作業終了。
2010.10.3 sun〜10.11 mon 現状と展望
肉抜き
牡蠣殻? 中空パーツにするため内側をえぐる。両方合わせて現在195グラム。当初は280グラムオーバーだった。上面は紙積層のためレジンキャスト複製だと200グラム台になるだろう。中空の効能は重量軽減が主でもう一つ、工業製品っぽく見えるのが手を入れる理由
 版権申請時(9月28日)までに出来たのはおおまかなシルエットを作り出す所まで。正直これで版権許諾されなくても仕方ないかという段階で申請したのが不安。恥ずかしくて申請時の全体画像を載っけていないのもこのためである。
 上面と下面パーツのバランスが悪いのと下面パーツの岩盤のシルエットが悪いので要改修中。隆起の流れがうまく繋がらず削っては盛りの作業が待っている。せめてもの救いは、申請後の取りかかりがいつもより早い事。早めに仕上げて宅急便先送りで身軽に上京……今回の目標はこれに尽きるかもしれない。
 製作にあたっての参考資料は30年以上前に刊行されたオフィス・アカデミー刊「宇宙戦艦ヤマト設定記録集」で、鉛筆の紙焼き濃度が悪いため、あまり鮮明な画稿ではない。
 11月に刊行されるという松本零士監修の『宇宙戦艦ヤマト大クロニクル』に浮遊大陸の詳細な設定図が公開されていたら土台から修正する必要が生じるかも知れない。自信のないまま外より内側を加工しつづける気弱な顛末を待たれよ。(2010.10.24記)
 前回からの変化は版権申請までに組み上げた原型をブラッシュアップしていく作業なので外見のダイエットが中心。行程写真撮るのサボったのでアップした画像くらいしかなかった。
 意欲の薄さが枚数に現れる浮遊大陸完結編。作ってみれば判ること=突起やトゲが特徴の松本零士様式は触って楽しめる。ここが伝われば本モデルに費やした時間も浮かばれる事だろう。浮いてるだけに……(ベタベタ)
2010.10.30sat〜12.11sat 原型完成
原型完成
 下部突起部分のカーブ調整。根元部分のペーパーがけに手間取る。短冊に切ったサンドペーパー折り畳んでゴシゴシやったが先端にテンションかかってないのでザクザクっと削れないのに閉口。
 11月14日にペーパーがけ終了。11月17日にバルサ棒のポッチつけて上下パーツの接合処理。そこからチマチマと仕上げ作業を進め、12月11日に水で溶いたファンド粘土を塗り込みザラっとした表面に仕上げて完成。テキスト打って気づいた。モサっとしたシルエットになったのはこの時の厚みのせいか。表面効果の代償はかなり大きい。
2010.12.14 sun〜2011.1.1sat 複製作業
ゴム型 複製ゴム型 突起部分を反転すれば当然凹型になる。この凹部分は触ると気持ちよい。岩塊の型なのに生物感がある。ゴムのせいか?
スタンド原型 ディスプレイスタンド原型 複製ミスった総統グラスのキャストパーツを芯にし、石粉粘土でコーティングしたものを削り出し。取っ手部分が全部粘土。横に倒せばラッパふみふみ。
 いつも通販で買ってるシリコーンゴムが欠品、複製中なので初めて石膏型補強を行う。田舎でも石膏なら入手しやすい。
 刻みゴムをくさびにして片面に使用。何この重さ?というリスクはあっても複製作業に支障なし。小さいモデルならコストダウンに繋がるので有用だと思う。問題はバラした時にゴミ回収対象じゃないのでどうするかという所。しかし、元旦にも抜いてたとはなぁ……(他にやる事がないのか)
2011.1.9 sun〜1.18 tue ディスプレイモデル塗装
三体合体 パーツ全景 カラーキャストにすれば5割方完成するパーツ構成。このくらいなら塗る手間もたいしてかからないので、色キャストにする必要もないか。
 ベースはミスターカラー、池と河川部分はジェルメディウムで光沢のせ。クリアジェッソ盛っても全然テラテラしないので何でかと思ったら記憶違いだった。色をのせるとスケール感間違えた河川の幅広さがいや増す。
 サイズの小さいものほど精度が要求される。ラブタコスの生体マニピュレーターではこれが精一杯。
 遊星〜惑星と来て大陸モデル。地表表現のスキルは全然上がってない。上がってなくても次に作る際のアタリ(立体化できるだろなという青写真)が取れるのはストレス軽減になる。続ける事の効能はこんな部分だろう。
完成モデル  これにて浮遊大陸の製作記は終了。おかげさまで2月6日のワンフェスに出展した分はめでたく完売。パッケには“賞味期限:飽きるまで”と書いてるので、オークションに投げ込まれるのはやむなし。
 ただ、封も開けずに転売対象となった1セットだけは確実に不憫。転売屋に“ありがとうございます”と言ってしまった自分がイヤでイヤでたまらない。作った側も幕張メッセへ足を運んだ人間にも甲斐のない行為。コミュニケーションはあの1日の中で成就されば充分である。
 もう時は夏へ向けて歩んでいる。弥生3月、まだ今回で散らかった掃除が完了していない。懐がもの凄く寂しくなってる今日この頃(切実)、夢のように過ぎる時間の中であえぐ、中年デブオタディーラーのネガティブ発動を待たれよ。爪にはまだレジンキャストがくっついてる……(2011.3.10記)
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