ラブタコス戦記20110206 ‹‹ 超光速波動エンジン製作篇 ›› にゅうにゅうちゃん貯金箱製作篇 ダウンアイコン
 さて、どうしたものか……2011年夏のWF参加申請締切ギリギリまで決めあぐね、さぁやるぞと決めた時には版権申請提出日まで1ヶ月しかない。手をつけてみると判る面倒くささ。さすが地球より進んだイスカンダルの科学技術。
 パーツの摺り合わせと曲面へのモールド彫りが待ち受けるタキオン推進機関の製作。はたして魂のフライホイールは一発で始動するや否や。
承 前
設定資料集 宇宙戦艦ヤマト全記録全集/設定資料版  1979年ごろ購入。当時中学生の2000円は豪華本クラス。遊星爆弾もガス生命体グラスもコスモゼロも地球2199もガミラス本星も総統グラスも超大型ミサイルも浮遊大陸も全部この本が役立っている事を考えると、最も人生に活用されている本である
 波動エンジンの設定画にはスタジオぬえのサインが入っている。はたしてどれだけ松本零士分が入っているのか?判らないのにやるのは松本様式の立体化をひょーぼーする当ディーラーとしていかがなものかなのだが、いかんせん『ヤマト』内での再現対象がもう出てこない。
 よって、組み上げる中で当方なりの松本様式を盛り込めたらと思っている。松本様式……煎じ詰めればフリーハンドが生み出す曲線の連なり。メカに定規を使うなという永野護に繋がる思想。これを定規も使うしトースカンも使う立体物へ落とし込む事が今回の目標。
 こう書くとスタジオぬえ否定な物言いに聞こえるやしれんが『ヤマト』デザインにおける統一感は松本零士とスタジオぬえの絶妙な化学反応による事は全面同意。携わった年齢、その時点のスキルが産み出した本作だけに存在するオリジナリティ。“『ヤマト』は1974年モノに限る”当ディーラーにおいてこれがブレる事はない。
2011.3.7 mon スケッチ始め
スケッチ1枚目  設定本見ながら自由に描いてみる。波動砲ユニットもあるが想定サイズで作ったら40cm超えてしまうし作り上げる根気も足りないのでこれ1枚だけの描き込み。ディスプレイスタンドはエネルギー伝導管をうまく見せる必要があるので重要なパーツ。まだ全然固まっていない。
2011.3.8 tue〜3.12 sat スケッチ〜クリンナップ
スケッチ2枚目 スケッチ3枚目 スケッチ4枚目  波動エンジンは各ユニットの中心軸が同一線上に配置されていないため、船体へのマウントパーツまで作ると前後で段差が生じる。これはディスプレイスタンドの形状で対応するとして、当方は前部のタキオン粒子発生器から後部の噴射ノズルまで中心軸がピッと揃った、地球人的生理に順応するエンジンを組み上げたい欲望がある。
 ラフスケッチにトレぺをかけ、パーツを位置を調整しながらトレース。ノズルから一直線に穴が突き抜けるように調整する。
パソ作図 パーツ作図
2011.3.12 sat〜3.19 sat 作図〜パーツ割り出し
 トレースした図をスキャンし、パソ上でクリンナップ。各パーツの摺り合わせは中心に21mmのパイプを通して面を揃えるマンガ肉仕様。軸打ちしなくても仮組みできると予想。パーツは全体を8ブロックに分けて割り出し。フラットになったシルエットに立体化の際、手描きのタッチを戻すのが肝。二度手間でもブロックから一発で削り出せるような天分はないのだから、足りない才能は手間で補うしかないのである。
2011.3.21 mon〜4.3 sun 粘土原型ベース
粘土原型ベース 粘土原型ベース2  削りマージンをたっぷりとった粘土塊群(最後尾のノズルはまだこねてない)。同一パーツはレジン複製取る事にして特急仕上げ開始の準備完了。10日チョイでどこまで上がるのか……で、ほぼ10日後の成果が下記の写真。か、変わりばえしねえ。
 緊張感のない進行状況は、東日本大震災の影響で夏のワンフェス版権受付中止のアナウンスがあったため。今年の夏は一部メーカーを除き、多くの版権物系ディーラーがオリジナルでの参加を求められる。
 正直、提出日までに何を作っているのか判る程度まで仕上げる自信なかったので、今回の措置に救われた格好。2004年の旗揚げ時にこれを作るとは予想だにしなかった。そのくらいのモチベーションでスタートするから出遅れも自業自得。
 という訳で波動エンジン製作編の再始動は夏のワンフェス以降の予定。にわか創作系ディーラーの顛末次第によってはさらにモチベーション失うやしれんが、長崎→幕張という往復約50000円光年の旅にはどうしても必要な駆動機関。中年デブオタ地球人の工作技術でどこまで再現できるか気を長くして待たれよ。(2011.4.7記)
やまとと!  という訳で2012年冬の「波動エンジン」および「遊星爆弾貯金箱」「浮遊大陸」のワンフェス出展計画は消滅。すべては版権元の判断に帰するので了承する次第。「波動エンジン」は完全原型での申請ができなかったというコチラ側の不備もあるし……
 これからお見せするのは版権申請用に撮影したカット。幕張メッセへ持っていけない事に対するせめてもの慰め。
 すげぇ手前味噌な言い草だが、波動エンジンは単体でもヤマトの世界様式が伝わってくるいいデザインだと思う。パーツ組みの面倒くささはデスラー艦の比ではない。武装なくても魅力あるメカとして注目されていい対象である。
波動エンジン原型(完成率60%くらい)
エンジンカット01
エンジンカット02  素材ベースはファンド粘土。同形パーツはレジンキャストで複製。全長350ミリほど。設定と向き合って知ったのは、フライホイールより前のユニットがタキオン粒子発生器で、後部のユニットはすべて圧縮機関という事。つまり、イスカンダルからもたらされたエンジンの設計図というのは、タキオン粒子発生の原理を記したものじゃあないかと妄想。
 作ることで思考が連鎖する……手を動かせば頭も動くから楽しいのである。正解を説くのが目的ではなく夢想するのが趣味の肝。  波動砲へとつながるエネルギー伝導管ユニットからエンジンノズルの手前までに仮止めしている同形小物パーツはスケール間違えたりしているのでちょっと納まりが悪い。
エンジンカット03
エンジンカット04 エンジンカット05  作ってみなくちゃ判らないというのはメインノズルのボリュームの割合。ヤマトの後方シルエットもうなづける。フィルムだとフライホイールが大きく強調されているが、エンジン全体から見るとずいぶん小さいものだと判る。立体とフィルムの見栄えは異なって当然。
 平面を立体に落とし込むにあたり、ドコをビジュアル上の肝にするかは原型師の見せ所。そういうポイントを考えていなかったのが当方の意気込み不足を物語る。
 このアングルからだと宇宙船ぽく見える。平面図作成した時には見えなかったビジュアル。これが立ち上がるからこそ立体にする意味がある。
 組み上げている内にわき上がってきたのは『ヤマト』と『聖戦士ダンバイン』にある相似律。松本零士とスタジオぬえのコラボが生み出したデザインの化学反応がオーラバトラーやオーラシップにも受け継がれているように思えてきた。出会いから生まれるデザインの系譜を考えるきっかけにもなる。立体は思考を助長する行為である。
 ヤマトとダンバインの血縁関係(あくまで妄想)。ここに思い至れたのが今回の波動エンジン製作一番の成果である。
作図比較  これにて超光速波動エンジンに関する記録は終了。原型仕上げてワンオフ仕様という未来の選択もあるがアマチュアガレージキットディーラーとして発信するものではないので、完成報告だけで終わらせると思う。
 次は版権物持ち込めない事から急遽オリジナルモデルの製作記掲載の予定。ラブタコスとしては最後の出展品。会社辞めて得た時間をたっぷり注入して末尾を締めくくりたいと思う……無職の人間が考えそうな事だ。(人これを現実逃避と呼ぶ)
 セットカウント2ヶ月の社会人自爆スイッチを押し、中年期と老人期の折り目を幕張メッセでつけようという中年デブオタ最後の発動を待たれよ。(2011.11.2記)
平行製作:遊星爆弾貯金箱
ゆうちょ01
ゆうちょ02
 2011年夏のワンフェスにて「にゅうにゅうちゃん貯金箱」を出展した際“これなら遊星爆弾のシルエットを全部活かせる実用品ガレキが作れる”と連想して組み上げた。ディスプレイスタンドと本体ベースには「にゅうにゅうちゃん」の複製パーツを流用。
 そのためわずか半日でシルエットが組み上がったという当ディーラー最速の原型製作ぶり。(無論仕上げは行っていないが、外見はほぼ変更なしの完成度)
 原型師デビューが「遊星爆弾ランプ」なので、最初と最後を遊星爆弾で締めくくれたら理想的だった。幻の20作目になるのは残念だが個人で楽しむ分には規制もない。原型仕上げたら複製取って使おうと思う。
 遊星爆弾は「ヤマト」の世界観を担う最重要デザイン。設定と作画時のシルエットの差が功を奏したと思うので最終的にシルエットまとめた人は誰なのかが気になる。ご存知の方がいればご教示願いたいもの。
湾フェスロゴ 湾岸03  2011年の秋に申請不許諾の通知を受け、去年の夏まで塩漬けになっていた波動エンジン&遊星爆弾の製作。2012年秋より再トライ。予定より1ヶ月以上遅れて版権許諾の通知が来たのは2013年1月。モチベーションは間延びし、予想以上の手間がかかる原型製作にストレス上昇。許諾未定の時期でも進めないことには仕込みが間に合わないので不安を抱えてまま複製作業を進めていた。
 ともかくワンフェス当日の卓上がスカスカになる事態は回避されたので一安心。許諾された(株)東北新社には深く感謝する次第。以下は1年ぶりの製作報告。駆け足ご容赦
遊星爆弾貯金箱原型(版権申請時) 2012.9.13 thu ー 9.18 tue
遊星原型  2013年冬のワンフェスに向け、最初に取り組んだのは遊星爆弾貯金箱。前回申請時にほぼ完成していたので表面のモールド追加とモデリングペーストによる肉厚増加のみの短期工作で終了(ディスプレイスタンドへの版権プレート設置は複製作業直前に行った)。
 にゅうにゅうちゃん貯金箱のスピンオフアイテム。とてもイージーなアイテムだが遊星爆弾を貯金箱にする考えはガレキデビューの遊星爆弾ランプ(2003)時にはまったく浮かばなかった。作り続けた事のごほうびがこんなカタチで現れるのは嬉しい限り。
超光速波動エンジン原型(版権申請時) 2012.10.2 tue ー 10.6 sat
エンジンカット01  版権許諾申請用の急造モデル。前回の状態に補助エンジン部分(シルエットだけ出した荒原型)を追加したのみ。エンジン内のコアノズル(?)は紙原型の製作中。隔壁回りのフィンや波動砲へつながるエネルギー伝導管の基部は未製作のままで申請。
 前回の不許諾や病気による入院などが後を引き、この段階ではガッツリ取り組む意欲が足りていない。今回の参加は2012年冬のワンフェス参加キャンセルへの雪辱戦なので、最低にゅうにゅうちゃん貯金箱を持って行ければ出展の義務は果たせる…… 版権降りなければデカイお詫びポップ作ってお茶を濁すくらいの気分でいた。内面はカタチに表れる。
超光速波動エンジン原型(決定モデル) 2012.10.11 thu ー 12.27 thu
エンジンカット02  本格的に取り組んで判ったのは形状出しの難しさ。削っても削っても求める曲線が出てこない。左右対称も出てこない。工作スキルが追いつかない面倒くささに翻弄される。松本様式で多用されるポコッと膨らんだコブ状部位の塩梅が難しい。
 製作中、3Dプリンターによる立体造形の記事には少なからず動揺する。メカニックなアイテム作りに強力なサポートとなるのは明白。グラフィックデザインの版下製作がDTPへ移行していったのと同じ。低価格化の波が輪をかけて魅力的にしている。
 それでも一言。松本様式の再現は手作業と相性が良い。松本様式の魅力はペンの強弱が生み出す線幅の内にあり、ユガミやヒズミやクセが渾然となる人の手を介して行った方が偶然の一致を見るチャンスも大きい。と、ここにいたり松本漫画の中で息づくメカニックの存在感は図面に置き換え合致しない部分に発揮されていると意識する次第。自分の造形力で果たせなかった部分を主張しても説得力はないが…… 空転妄言。
組立パーツ(ゴム型キャスト注型) 2012.12.30 thu ー 2013.1.19 sat
レジンキャスト複製品  ゴム型作り最大のストレス、粘土埋めを乗り越え、刻みシリコンで増量した12キロ超のゴム型で抜き出し、7キロちょいのレジンキャストで複製取り(遊星爆弾含む)。全パーツ同素材で揃えるとここまで来たかと一安心。版権許諾通知が届いたのは複製完了の前日だったので判明当日までの不安は一掃される。
 見切り発車で進めて来たエンジン製作も頒布状態まで持ってこれた。足かけ2年の建造になり、会社辞めたり病気かかったり、肝心の立体熱が冷めてきた中でも進めてこれたのが一番の収穫。
原型セット  これにて超光速波動エンジンの製作は終了。テンパリ気味の製作進行だったため小まめに記録画像取っていないのが本稿に露わ。ともあれ、ワンオフモデルで終わらずガレージキットとして発信できるのは作った甲斐があるというもの。
 ワンフェス開催日まではディスプレイモデルの完成とブース展示の仕込みに突入。ルーペなしでは溝も彫れないほど視力が落ちた。最初に手がけた頃には信じられない老いっぷり。緻密さからは遠く離れ、手間もこだわりも薄くなったアマチュアガレキディーラーの集大成公表の日は近い。すべての結果はイベント後に。
 ほころびも堅苦しさも幾年月、こだわりの因果地平に待ち受ける世間の荒波っぷりを待たれよ。
(2013.1.23記)
ディスプレイモデル 2013.2.25 追記
エンジンディスプレイ1 エンジンディスプレイ2 遊星ディスプレイ  2月10日開催のワンダーフェスティバル2013[冬]で展示した波動エンジン&遊星爆弾の塗装モデル。エンジンはスミ入れの予定が下手くそなウォッシングに変貌してしまい後悔しきり。エナメルを薄くしすぎて溝だけでなく塗装表面まで拡がってしまった…… 地色はもう少しオレンジ寄りに振るべきだったと思う。フィニッシュの仕上がりがビジュアルに与える影響は大。化粧した事がない人間のがさつさ故である。
 遊星爆弾はコレといった赤がイメージできずに終わる。以前作った「地球2199」付属のLED発光遊星爆弾が一番イメージに近い色合い。イベント時、ブース訪れた人が言われたように透明キャストの内部発光仕様でないと劇中の透過光は再現できまい。ガレキデビューの遊星ランプも発光を前提に作った事を思えばむべなるかな。松本様式のアイテムはこれで打ち止め。これまでの挑戦は楽しく作ってこそ判る魅力があった。言葉で紡ぐよりカタチにしてみる事。ガレキの肝はそこにしかない。
ラブタコス戦記20110206 ‹‹ 超光速波動エンジン製作篇 ›› にゅうにゅうちゃん貯金箱製作篇 アップアイコン