ラブタコス戦記140209 ‹‹ ガミラス三段空母1945製作篇 ›› いそがる〜ちゃん製作篇 ダウンアイコン
2014年夏のWF参加申請書書いたのが2月16日。冬のWFが終わって1週間後には仕様を決めていた事になる。メモ帳読み返してみるとイベント中に“松本様式スポイルしたからどーのこーの”とアジっている。
 じゃあ、どこをどーすれば松本様式なのよ? と口ではなく手で語ってみようというのが今回の目論見。タイトルからして“ストレートなアプローチはないだろー”というチキンぶりから建造の始まり始まり。
写真はボリューム確認用の三面図ペラ張りモデル(2014.4.7)取り掛かりが遅すぎる……(>_<)
2014.2.27 tue - 4.12 sat スケッチ〜製図
スケッチ01 スケッチ02 家で落書きするより列車やホテルの休憩室の方がボールペンの進みが早かった。意図しない刺激の中でやる方が活性化するのやしれん スケッチ03 スケッチ04 ウォーターライン仕様を目指しているためバランス取りに試行錯誤。切り貼りしたカットをライトテーブルでトレス(上図)。スキャンしてPCに取り込み下図の三面図に結実
 七色星団の戦いで登場した三段空母は、それまでに出てきたガミラス艦のシルエットとは一線を画し、地球人がイメージする空母々々してるなぁと思っている。第二空母の艦載機である急降下爆撃機も同様な引きずりを感じさせる機体である。ではこれをどう解釈するか?
ガミラス人は地球人よりも高度な科学文明を築いているが過去には化石燃料を動力とした時代があり、発展段階においては地球と似た様式の時期がある。三段空母や急降下爆撃機はその当時に造られた艦影や機影を伝統として継承している。以上。
落書き  と、いう説得力に欠ける推論を足がかりに、“第二次大戦の軍事フォーマットを踏襲する『ヤマト』にアングルドデッキは無粋だろう。そもそも発・着艦用に甲板あるんだから要らないじゃん”とか、“松本零士が戦場まんがシリーズに三段空母出したらもっと曲線のキレイな艦影になるだろう”などと追加妄想を加えてスケッチを始める。
キャプ画面 オリジナル映像でもアングルドデッキなしの艦影があるので、まんざら妄想ではない…… ですよね(誰に向かってへりくだっているのか?)
参考資料 参考資料は毎度世話になってる設定資料集以外に上記の四冊。ペンで描かれた艦船の魅力と実在空母の写真。見て面白いのは漫画表現。漫画家のフィルターを通して表現されるから魅力が倍加する
3.23 sun -4.12sat 製図
 スケッチからベースになりそうなカットを選び、トレス〜修正〜トレスを重ねて下図をスキャン、「イラストレーター」で三面図他をクリンアップしてシルエット出し。工作スキルは考慮していないので、あくまで理想値のビジュアル化である。
スケッチ05 パーツ組立時にも修正を加えているので決定稿ではない。作ってみなければ作図上の矛盾や噛み合わせのズレはわからないものだ
2014.4.13 sun - 5.5 mon 組立〜一次原型完成
紙パーツ スチレンボードとボール紙によるベースモデル用パーツ。紙以外にバルサ材という選択肢もあったが欲しい時に入手できずにお流れになる 紙パーツ組み パーツ組み立てるとこんな感じ。飛行甲板を重ねたらそれっぽくは見える。多層式空母というコンセプトが持つ強力なオリジナリティのおかげ ウレタンはさみ 側面リブの間にウレタンフォームを差し込んで整形。曲面のつながりを松本様式らしく持って行くにはもっとダイナミックなカーブが必要だろう
 版権申請まで残り時間は20日あまり。突貫作業が始まる。工法は以前作った「プテラスピス号」と同様だが、一次原型を作ってレジンキャストに置き換える手間を省けるかもしれないと、モデリングペーストではなく水で練った石粉粘土で外皮を作る事にする。うまくいけばモールドも入れられるぜ?という皮算用。たいてい欲をかくと落とし穴があるものだが…… はたして。
粘土塗布 右図フレームに粘土を塗り込んだ状態。水分多めで乾燥後の引けは大きい。私見ではベトベト粘土の方が生のままを捏ねて拡げるより乾燥が早くて食い付きも良いと感じた。乾燥後の再接着が容易で使い勝手の幅が拡がり、今回製作で一番の収穫
カット
 と、いう流れで申請ギリギリまで手を入れ最後の追い込みでは無駄に太るのを承知で夜食のカップ麺をすすり、艤装パーツのレジン複製をペタペタと仮止めして5月5日までに組み上げたのが下記の写真。版権申請に送付したものである。
申請写真1
申請写真3
申請写真2
作図から割り出して作った艤装パーツは全体に大きめで艦体とのバランスがとれていない。推敲する手間と時間を取らないとこういう事になる
 以上が版権申請までの製作過程。統計の世界では問いの立て方が間違っていると集めたデータは意味の無いクズになるという(武田鉄矢のラジオで言ってた)。はたして今回のアプローチ、“三段空母は舞台や時代を変えても絵になる”という脳内コンパスは説得力の大陸へ針が向いているや否や?
 どこへ辿り着くのか、ブースの卓が埋まるかどうかも夏には判明。動機の薄さに青色吐息な次なる更新を待たれよ。
(2014.5.14記)
粘土甲板
2014.5.17 sat - 6.1 sun 二次原型開始
作業穴  なんとかかんとかシルエットを出した後、レジン複製に向け飛行甲板の粘土原型と側舷銃座のベース作り。同時に設計とパーツ誤差による隙間補正を行い、盛っては削り削りは盛りの繰り返し。後部メインエンジン下回りは手が入れにくいため、艦底に穴をあけて作業できるように加工。飛行甲板がかぶさるので問題なし。(ここは飛行甲板というより物資搬入や車両運搬のためのハンガーデッキだと推測している)
 角を取った粘土甲板、側舷銃座も本ちゃん盛りしたせいで曲面部分がグンと増える。艦体のモールドへ移るのはまだ先。アマチュアでアナログでおおざっぱな見当合わせのメカ原型に緻密さは無縁。ゆがみがアジに見えるゴールへ向けて工作は続く。それにしても三段空母。手間のかかる構造をしている。甲板の数だけ面倒くさい。ガミラス空母三倍段の法則があるのやしれん。(2014.6.5記)
不許諾まんが
2014.6.6 fri 当日版権結果報告=不許諾
作業穴  上記の判定が届き、今夏のワンフェス出展は七色星団の藻屑と消えてしまった。まぁやむなし。今回のコンセプトと申請期限までに原作版の飛行甲板製作が間に合わず、申請内容が事欠いていた負い目もあったので不許諾も当然である。
 もっともプライベートでの製作に制限はない。夏まではWFで手一杯のため建造再開は秋以降に取りかかる予定。再申請は…… 組み上げてから考えよう。  現在を反映しないアナクロ中年の製作記に関わらず、3DCGによるキャラクター造形を行われているtan.j氏がご自身のブログで当方の三段空母にふれられており恐悦至極。“ジャガイモに名刺3枚”。三段空母の特徴を語るにドンピシャな表現。自分にこの視線はなかった。氏の製作予定リストにもあるというから、本ガレキのような暴投コース・不正投球的なアプローチとは一線を画す、真正面から向き合ったドメル艦隊の多層式宇宙空母が登場する事だろう。
 という訳で建造計画はしばしの凍結。お披露目は未定。予定がガタガタになってしまったがそれでも夏は来る。開催日は待っちゃくれない。気持ちを切り替え出展への仕込みに専念する次第。間延び間延びの飛び石連休な再挑戦を待たれよ。
(2014.6.14記)
2014年夏のWFも終わり、投入すべき時間を日用品製作にかまけて再開が9月12日。WFの版権申請〆切が10月15日。申請は〆切を作ってくれるが深刻な状況には陥っていない。WFでの出展ではなく、作る事がゴールになっているから。
現状の建造率はおよそ6割弱。仕上げフェーズはまだ見えないが、慌てず急いで大らかに進めていこう。
松本流作画術を会得していない人間だとこれが精一杯…… 活き活きとした描線、なまめかしいフォルム、少ない線で最大の効果を発揮するあの様式を得るのはスタンレー山脈のように難攻不落である(>_<)
2014.9.12 fri - 10.13 mon 樹脂板発注〜原型仕上げ
樹脂板寄り画像 空母製作の強い味方、印刷用樹脂板。これなくして製作に望むことはなかった。印刷面は光硬化で作られるためか、硬化後室内でも色味が変化する。本来の用途は活版印刷向けなので、切り出してスタンプや印鑑などステーショナリーグッズとしての活用が本来の用途にふさわしい 艦体ベース右 艦体ベース左 側舷のカーブはちょこちょこと調整を続け、最初の頃よりは曲面のつながりが自然になった。ラインを割りたくないので1パーツ原型にこだわってきたものの、これをそのままゴム型で抜けるのかは不安と経験則が五分五分といった所。ゴム型重くなるのはもう避けらない 艦影右斜め前 艦影左斜め前 三段空母の各飛行甲板の比率には挑戦者それぞれの答えがある。基準になるのは最上層の第1甲板。ここの縦横比がすべてを決めるカギ 第1甲板 エレベーターの位置はほぼ設定通り。幅はともかく着艦には縦の長さが不足気味。パイロットの技量とガミラス本星の大気密度は地球より高く揚力が大きく取れると脳内設定でごまかす事にする
 飛行甲板の印刷用樹脂板を発注、平行して手付かずの部分を仕上げていく。後部エンジン周り、艤装パーツの見直し、艦体シルエットのシェイプアップなどやることはたくさん。仮に冬の版権審査が許諾されていたとして、その後の仕上げ〜複製〜ディスプレイモデルの日程を考えると地獄を見たに違いない。ストレス回避にはお役立ち。
樹脂板 樹脂板アップ 印刷用樹脂板 今回地元ではなく福岡の有限会社田中凸版さんに発注。データ入稿後、中1日で樹脂板が到着。仕上がりは納得のクオリティ。飛行甲板のラインは標準0.2ミリ。興味がおありの方は一度使ってみることをオススメ。1万円弱(送料込)でA4サイズいっぱいのモールド原版が手に入る。曲面モールド(スペースコロニーの外壁とか)表現にも対応出来る柔軟素材は用途が広い
樹脂板カール 反面、ウィークポイントは水気に弱い所。濡れタオルをのせると樹脂が水を吸って反り返ってしまう。水気が抜けていくと反りが逆の方向に向かう。柔軟性は諸刃の剣。原型に貼り付けた後は早めにゴム型抜いた方がよろしい。印刷機のローラーで押さえつけられるのが前提の素材。あくまでイレギュラーな使用なのでご注意を
小物パーツ1 前回の版権申請時に作った小パーツは全面的にシェイプアップ。ボテッとしたシルエットを絞り込んでカリっと削り直し
砲塔パーツ 今回初めてやったのが真鍮管の加工による砲身表現。1.4ミリと1ミリのパイプを組み合わせてベースを作り、砲口のテーバー部分はルーターに挟んでヤスリを当てる目検討仕上げ。同じ形状に仕上げる技量はないのでバラバラ気味
インテーク ここだけは『2199』プラモのパッケージアートを見て“そうだよな”とうなずかされて原図を描き換えた部分。たとえ宇宙が舞台でもインテーク。ひょっとして『2199』版にはあるのやしれんが設定ありきだから必要というのでなく、入口があれば出口もあるという導線が機能すれば十分である。
それにしても…… オリジナル『1974』の設定書にもある部位からインテーク形状を読み取れなかった自分が悔しい。塩を送られた気分。池田憲章も『サンダーバード』関連で語っていたというのに……あああ〜無念。(>_<)
10.11 sat -10.13 mon 仮組み
 そして飛行甲板に樹脂板を貼り、小パーツを仮止めして組んだのが上下の画像あれこれ。スジ彫りの荒さやパーツ接合部の隙間など補修箇所が多々。シルエットはこれで決定稿。調整・肌目を整え最終仕上げの予定。これがラブタコス版の三段空母1945。なんか違うと思われる御仁は、自分の解釈で塗りつぶした一隻を建造していただきたい。受け手の数だけプレゼンテーション。それがガレージキット、キャラクターモデルにとっての祝福と思う次第。
申請写真1 申請写真2 申請写真3 申請写真4 申請写真5
撮影セット バイト先から貸与された撮影用照明キット。版権申請用の撮影でその威力は実感。しかし6000円のデジカメで抜けの良さを期待する方が高望みというもの。旧機種ながら高評価のカメラも貸与されたので次の撮影には期待が持てる。おまかせモードでパチリ
 以上が2015年冬のワンフェスに向けた版権申請までの建造報告。「月刊モデルグラフィックス」にあった好きなコメントに“単体で終わらず複製とって頒布するのがガレージキット(意訳)”がある。大いに同意。頒布は許諾の問題なのでこちらの判断が及ぶものではないものの、アマチュアガレキディーラーの範囲で複製、ディスプレイモデルを組み上げる事はできる。一桁であっても量産すること、それが自分以外の誰かに伝えようとする「キット」の意味だと思う。
 “今年のキット、今年の内に” 次のお披露目が完結篇。樹脂板の色が抜ける前に複製取って本妄想の区切りとしよう。ちゃんと(ゴム型)抜けますようにと願いをかけた次なる更新を待たれよ。
(2014.10.19記)
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