オリジナルフィギュア製作篇040829 ‹‹ ラブタコス戦記050220 ›› コスモゼロ製作篇[前編] ダウンアイコン
タイトル
また日本で一番遅いと思う冬フェスの関連の日記をアップ。のろまなのはカメだけじゃないのだった。

WF日記・決戦前夜篇

フィギュア複製
2004.12.30 thu
 フィギュア原型をシリコーンの海に沈めて複製開始。
フィギュア複製2
2005.1.10 mon
 製品×5、ディスプレイモデル×1、予備×1の計7体分の複製完了。某○ア・○ァイターの無駄になる注型がいと哀れ。気泡が多く出て困る。ガンド・ロワの複製も開始、会社でポップ関連、家では複取りの日々が続く。遊ぶ時間がない……というか、遊びなのに楽しくないのが複製作業のツライ所。
2005.1.16 sun
フィギュア塗装  ガンド・ロワの複製も開始し、会社でポップ関連、家では複製取りの日々が続く。
2005.1.25 tue
 ガス生命体グラスのシリコン型製作開始。作り方は前回通り。同じ作業を繰り返すのは気乗りしないもの。しかもグラスは透明素材のため、補修がとても難しい。毎回、トゲが折れやしないかとビクビクしてしまう。
2005.1.30 sun
 フィギュアのディスプレイモデル塗装開始。前回ガンド・ロワディスプレイモデル作りの時閉口したラッカー系塗料は極力控える事にし、リキテックスの手塗りをメインに仕上げることにする。
 デリケートな色彩表現を可能にする技術はないのでチューブ絞り出し原色ベタ塗りを繰り返す。
 レジンキャストとの相性は可もなく不可もなくで、薄く重ねていけば剥離することもないし、なにより水だけ使えばいいというラクチンさが有り難い。塗り下手なのは隠せようもなし。
2005.1.30 sun〜
破損グラス  ガス生命体グラスのシリコン型製作完了。早速エポキシ樹脂の注型を始めるも配合比間違えて1本分の樹脂を無駄にする。目分量で継ぎ足した樹脂は硬化してても強度が足りず、簡単にパキパキと割れてマキビシ状の凶器と化してしまった。
 その後はキチンと配合して注型を試みたがことごとく破砕または硬化不足で、生物都市のようなグニョグニョオブジェが誕生。
 昨夏には発生しなかったトラブル、どうも低温時での溶剤混合が原因と思い、ストーブのそばで温めた溶剤同士を混合・注型したらうまく脱型する事ができた。(なお、失敗した樹脂も時間をおけばシッカリ硬化した事から、硬化時の温度管理も重要だと思われる)
 思わぬつまずきと製作時期の遅れから予定数は揃えきれなかった。グラスに関してはこれが残念。
2005.2.1 tue〜
卓上風景  各アイテムの注型作業と並行し、ガンド・ロワディスプレイモデルの製作開始。前回よりは脳内イメージに近い色で塗る事にする。
2005.2.8 tue〜
 ガンド・ロワパーツ注型終了。と思ったら棘パーツが足りないことが判明し追加注型。
2005.2.14 mon〜
ガンド・ロワ素組み  ガンド・ロワボディ組立終了。突貫作業でパーツのすり合わせが悪い。ディスプレイスタンド、本体後部の塗装開始。前部パーツは組立て完了済み。棘パーツまだ磨いていない。この時点での主な作業はディスプレイモデルの作成、グラスの補修と最終コーティング。リミットはすでに1週間を切っていた。
 俺の度量では3アイテムを3ヶ月で揃えるというのは荷が重すぎる事が露呈。“走りは車のポテンシャルではなく乗り手のキャパシティが決定する”とゆー『湾岸ミッドナイト』の言葉がピッタリくる。
2005.2.15 tue
フィギュア塗装完成品  フィギュアのディスプレイモデル組立と撮影。組立マニュアルに使わなければいけないので全部会社でやる。カメラもパソもカラーコピーもみんな会社の備品。
 エロフィギュアではないが、中年男がお人形さんをセッティングして会社の応接間で撮影している姿は自分でも引きまくる光景。その後データ取り込んでマニュアル出力。販促物のプリントはこれで完了。
 それにしてもフィギュア、オリジナルなのに原画のプロポーションを再現できなかった工作技術のなさ。フィギュアに関してはこれが残念事。
2005.2.18 fri
 上京前日。会社ではガンド・ロワ紙ポップ製作。棘パーツ切り出しを残してタイムアウト。(これが後の後悔につながる)
 自宅では荷物の詰め込みとガンド・ロワ本体・棘パーツの筆塗り作業開始。完全に遅すぎ。重ね塗りしてこそのグラデ表現というに困ったもんである。当然塗り終えられるはずもなく翌日へ持ち越し。
ガンド・ロワホテル塗装02
ガンド・ロワホテル塗装01
2005.2.19 sat
 イベント前日。逗留先のホテルも急造塗装場と化す。溶剤臭のないリキテックス塗りならではの荒技。ペタペタペタペタ塗っては乾かし、マスキングなしの2色分け。またベッドが無用の長物になってしまった夜なべ作業。仕上げにエナメル塗料のウォッシングしてディスプレイモデル完成。(これは溶剤臭がしてホテルに申し訳なし)いや時間切れ。一騎当千のモデラー達が集う場所にこのふがいなさ。しおりとガンド・ロワポップの仕上げのみ残し、穴だらけの仕様で今年最初の祭りへトラーイ!
 これでも前回より“ちょっぴり余裕”と思ってしまったのだから、人間喉元すぎれば……である。もちろんそれは幻想にすぎなかった。次回、めぐりあい有明・リミッター解除の果てに待つイレギュラーだらけの当日篇を待たれよ。(2005.4.13記)

冬フェス頂上決戦篇

2005.2.20 sun
段ボールブース  冷やしタヌキにちくわ天の朝食で今日のエネルギーを補給、新橋からゆりかもめでビッグサイトへ向かう。
 9時前には会場入り。設営時間は十分。しかし机のセッティングが決まらない 。頭が全然回っていなかったのである。右往左往でいたずらに時間を浪費し、最終的なセッティングは上記のようなバラック小屋的様相。前回と同じく、荷箱をディスプレイスタンドに用いるいたらなさ。1時間かけてこれだから情けない。中央のモザイクは委託依頼のドールで、その隠された銘を知ったら5桁の頒布価格も納得というシロモノ。壊れ物扱いのお姫様だったので、まさになんとかに鶴的存在だった。
 以下は机一脚分の世界で起こった祭りの覚え書き(時系列はランダム)。ブースに詰めっぱなしだったため、イベント全体の空気がどうだったかは不明である(原寸大スコープドッグの腕展示も知らなかった)。
ガンド・ロワ(再販)
ガンド・ロワ  突貫工事で塗り上げたディスプレイモデルを組立ててる時、“今回はバラバラじゃないですね”(意訳)と声を掛けるディーラーさんがいた。色の見直しと棘パーツに真鍮線通して、差し込み式にしたことがちょっぴりの進化といえる(モデラーからみれば初歩の初歩であろう)。配色については自分もこんなイメージという方もおられて、劇中で一番印象的なシーンのカラーリングを元にして良かったと思う。
 来店された人からは今回、アディゴやラパパなどが出てますという情報もいただく。なんでも関東じゃ、有線TVでイデオンが再放送中との事。昨夏に見かけたゼロロボットもファミ劇の放送が関与していると思われるので、今年の夏フェスはイデオン系が増えているかもしれない。
 11時前には完売。 おかげさまで今回もスケブになぐり書きが体験できた。開始早々、はるばるCブースから駆けつけてくれた人もいてありがたい事である。また、八広ディーシー主催、あげだし氏の友人が角川文庫版の小説「イデオン」を持参、ひさしぶりに小林誠版イデオンのイラストを見た。(コメントはもごもごもご……)共通フロアのためだろう。昨夏のスイート・ウォーター(Fブロック)デビューより初見の人が多い。おかげで解説するのがまた楽し。ディーラー冥利に尽きる。
合体ロボりすぺくとちゃん(新作)
フィギュア  魅惑のフィギュアが怒濤のように出揃ってるWF会場にあってこのおポンチさはどうよ……と作者自らが自信を持ってるオリジナルにも関わらず2体売れる。前述のあげだし氏の友人と長崎から来たという方が買ってくれた。長崎からの参加者は少ないと思っているので偶然にせよちょっと嬉しかった。(ディーラー参加のサークルは果たしてあるのだろうか?)
 ほぼ球状の頭にコンパスで描いた目。二次元で描いてる顔とさほどズレがなかったのには一安心。他にパッケージを立て積みしたら案外見栄えが良かったという事と、萌えないだろうに写真におさめる方が多少なりともいてくれたのが嬉しい。
 キャラクター造形そのものの興味より、一発ネタが産まれればまたチャレンジしたい。なによりオリジナルはリラックスして作れるからいい。胃にもやさしい。つっこまれてもオフィシャル見解と言い張れるし。
ガス生命体グラス(再販)
ガス生命体グラス  ガンド・ロワ同様、これも11時前には完売。(3個だし……)前回購入された方がもう一度買っていかれた。もう一人の方とは、“マリモ入れても大丈夫ですか?”と言うのでそれは可哀相だからやめた方がいいですという会話をする。(ガス生命体に見立てたかったそう。マリみてならぬマリみたて)
 さらに“ディスプレイモデルがないなら閉会近くまで置いててもいいですよ”という、ディーラー思いの申し出をしてくれる方もおられた。(なんとガンド・ロワも一緒に購入。昨年、藤本窯の北宋の壺補完計画に助言を寄せてくれた方でもある)
 仕様は全く違うが、藤本窯時代の遺産ともいうべきアイテム。息の長い支持があるのは光栄のいたり。すでに当初の目的“俺が欲しいグラスはこーゆーもの”は達せられたので、作り続ける理由はすでにない。来夏の出品は予定しているもその先は未定。前から入ってる事だが、ガラス製こそが正調グラスなのでどこか作ってくれないものかのう。
ガンド・ロワ紙ポップ
紙ポップ2
紙ポップ
紙ポップ3
紙ポップ4
 メインアイテムは午前中に無くなり、午後5時の閉会まではしおりの切り出しと作りかけのガンド・ロワポップの組立に集中。これが完遂できれば今回の出店活動すべて完了と、個人的に納得できるはずだった。棘パーツを切り出し張り合わせ、爪楊枝を刺して本体にくっつける作業が続く……
 結果は後部棘パーツ4本を残して閉会のアナウンスと拍手でタイムオーバー。前回同様ディスプレイに悔いが残る結末。完璧超人やダスティン・ホフマンにはなれなかった。(開始前に準備できなかった時点でダメ)
※ここまでの写真は自前。下の2枚は「藤本窯」で出店していたDUN氏が撮影したものを拝借。(了解済)抜群のアングルと重なり具合で、特に最後の1枚は作った本人も驚いたスケール感。やはりアオリで撮るのが湖川的にも正解なのだな。
ガンド・ロワこぼれ話2
ガンド・ロワサイズ比較  今回一番熱くなったのは、ガンド・ロワの製作法(樹脂板によるパネル原型製作)に興味を持ってくれた方との会話。ゴッドフェニックスを製作されたという原型師の方で、製作予定のさるアイテムに応用できないかという事で質疑応答を交わす。
 樹脂板のガレキ応用を持って足りない造形スキルを辻褄合わせしている身としては、肝の部分に興味を持ってくれた事が嬉しいし、樹脂板製作の方法から製版所・印刷所への依頼手順まで話すほどに熱が入り、樹脂板アイテムの遺伝子が受け継がれた気分。イベント参加の醍醐味はコミュニケーションにある事を思えばまさに本望である。
 なお25年ほど前の「ホビージャパン」に、樹脂板自体をパーツとして組み込んだ戦車の作例があったとの事(キャタピラ部分が樹脂板。なるほど)。やはり先行者はいるものだ。模型の歴史の長さと原型師の方のキャリアもそれだけ積んでいるのが判るエピソード。俺の作例、日本じゃあ〜2番目だ。
 終了後、2時間かけて撤収作業。設営も遅いが後かたずけものろま。樹脂板製作に興味持った方が来られたので約束した樹脂板を進呈。急造のガンド・ロワポップ、不揃いな棘パーツぶりがかえってソレっぽいとの評。名前も伺わなかったがここへ来ればまた会う機会もあるだろう。
 ハンディタイプの撮影スタンド持った人がバシバシ撮っていったのが最後のエピソード。フィルム換算だと36枚撮り1本分はシャッター切ってもらった。
 実行委員会に書類提出する際、専用封筒に入れて下さいと言われる。こちらで入れて置きますと処理してもらったが、ディーラー袋に入ってるのをすっかり忘れていた。寝不足と興奮でテンパッてた模様。取材を1件受けたが、掲載誌とか聞かなかったのでどう受け止められたのかは判らない。(追記:その後、『裏BUBUCA』にガンド・ロワが載っていたという情報をいただいたので、おそらくこの雑誌のライターさんと思われる。ガンプさん、ありがとうございます)
ベストショット
今回のまとめ
 準備期間3ヶ月でのイベント参加。新作持参で面目は保てた。時間管理能力と情熱さえあればモデルや机のディスプレイもちったぁマシになったであろう。下り坂の中年男がどれだけテンション保ち続ける事ができるかは非常に心許ない。ネタもそうないし……
 ただ結論はひとつしかない。同人誌「リーフスター物語」中の言葉を借りれば以下の事。“永遠はあるにょ、有明にあるにょ” この誘惑に負け続ける覚悟があれば、平凡な日常をエネルギー充填の日々に換えることができるのだ。
 ご縁があればまた夏に。(2005.4.16記)
ラブタコス・冬フェス参加製作コスト(消費税入れたり入れなかったり)
ファンド粘土×3
造形村シリコーン×7
造形村シリコーン×10
※10個買うと9個分の価格サービス。
旭化成 ワッカーシリコーンRTV2 M8012×6
造形村レジンキャスト(白)×2
造形村レジンキャスト(白)2キロ×2
平泉洋行 ハイキャスト(2kg)
ウレタン技研 レジンキャスト(2kg)
シリコーンスプレー×2
ほいく用ねんど×4
梱包テープ×4
マスキングテープ×2
ポリプロピレンカップ(3ヶ入り)×2
Mr.メタルカラー×2
Mr.カラーうすめ液(中)
プラ容器(グラス外型)
両面テープ×3
ピペット×2
ポリピペット(10cc)×3
低粘度エポキシレジンZ-2/H-07(700g)
ポリ容器(30cc)×2
布テープ
1731
13125
23625
 
13734
4200
7350
3549
2761
2016
1008
420
210
210
360
263
105
315
370
1080
4170
320
105
プラボード(2mm)
葦ペーパーランチパック ×3
真鍮線(1.5mm)
真鍮線(1mm)
ラッカースプレー×2
木玉(30mm)
竹ひご
白ボール紙×2
リキテックス絵の具 273×5
リキテックス絵の具 357×2
リキテックス絵の具
リセーブル平筆
リセーブル筆
ハイセーブル
ジェルメディウム
半丸ヤスリ
ミニベンチバイス
レンズ付作業台
模型用ノミ
ドリル刃(1.5mm)
ストラップフィルム
ポリカップ(600cc)×2
TOTAL
630
300
147
100
1560
180
15
157
1365
714
409
945
682
420
346
294
598
1080
1575
350
379
210
98,733
 3アイテム作って6桁を切るとは嬉しい。再販効果恐るべし。売り上げをさっぴくとアシが出たのは5万ほど。これなら全然許容範囲。とびきりの1日を経験したのだから何の損失感があろう。案外リーズナブルな趣味じゃないか。
付 記
 地元の同人誌イベントに関わっていた当時、“女子中学生のカリスマ”と評されていたDobby氏と会場で出くわす。コミケならともかくワンフェスの場で会うとは……すでに上京して活動中との事。当然の成りゆきと思ったりうらやましかったりと、自分の足で未来を切り開く人間はとてもまぶしい。『ガンダム』における地球の重力とニュータイプの比喩はいまだに有効である。
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