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スケッチ04.11.15
スケッチ04.11.27
スケッチ04.11.28
スケッチ04.12.3
スケッチ04.12.15
スケッチ04.12.13
スケッチ04.12.18
スケッチ04.12.16
スケッチ日付不明
スケッチ05.12.21
スケッチ05.1.31
スケッチ05.3.1
 ラブタコスブランド第6作目はまたまたまたのトゲアイテム。『宇宙戦艦ヤマト』より宇宙で一番カッコイイ戦闘機「コスモゼロ」に挑戦。(版権降りるかはまだ不明)昨年、「合体ロボりすぺくとちゃん」製作と並行してコイツの事が頭に浮かび、やたらと落書きしまくっていた。仕事中に……これもおそらくワンフェス効果というやつで、さまざまなヤマト系アイテムが出展されているしメカじゃないが自分でも手がけている事が呼び水になっていると思う。モチベーション的にはガンド・ロワが悪魔のZならこちらはブラックバードといった所。
 今をさる四半世紀前、ヤマト本を作ろうとして見事に挫折。馬齢を重ねる中、当時はまるで描けなかった機体も今ではソラで描けるようになった。(あくまで我流のプロポーションであるけど)経験が育んだ数少ない成果を立体にするのが今回の目論見である。数ある投げっぱなし経験、そのひとつでも昇華できれば言うことはない。
 資料はガス生命体グラスと同じく劇場版公開当時に出た設定資料集。秋田書店のコミックス、自分のフィルターを通して記憶されたビジュアルの3点。補足に「航空ジャーナル」増刊「F—104スターファイター」特集本を使用(ラブタコス版コスモゼロのアンチョコ本)。製作記録以上にダラダラくっちゃべる事必至であるが、御用とお急ぎでない方はしばしのおつき合いを。 どう転んでも夏には結果が出るので延長戦はなかですバイ。
コスモゼロ覚え書き
 “宇宙で一番……”に異を唱える方も5本の指に数えるのはやぶさかではあるまいと思うこの機体、劇中でベストという作画は木星の浮遊大陸上で行われたドッグファイト中の1カットしか記憶にない(コスモタイガーやバルキリーは金田アクションや板野サーカスという職人芸が堪能できるのに比べ……といったニュアンスで)。
 松本零士エッセンス満載のスタイルは、富野(喜幸・悠由季)メカの三次元形状とおなじ、数値で割り切れないような捉え難さに魅力があるため、動画でトレースするのが難しいからなのでは……と素人考えを抱いている。
 結局、自分の中で醸成されたコスモゼロのイメージは、左斜め上からの視点で描かれた設定資料中の1枚が種になっているのである(設定資料所収の三面図に準拠したプラモに反応しないのもそのためであります)。現用機テイストとは一線を画す機首回り、今だに掴みきれない主翼に分割された上下インテーク回りの三次元形状、松本遺伝子を引き継いでいるであろう永野護に直結する末端のトゲトゲ意匠に、それらを包み込んでまとめあげるボディの微妙なカーブ。
 リアリティを説得力と訳すならば、コスモゼロは納得力に溢れたデザインである。トゲのない総統グラスやガス生命体グラスに価値がないのと同様に。トゲだからいいのだ。戦車は三連砲塔、インテリアはメーターの海、ミサイルだって回りながら飛んでくる。余剰こそ松本零士的様式美、ここがヤマトの意匠において一番美味しい部分だと思う。
 物語的に、登場人物的に、美術的に美味しい部分はまた別にある。そこを咀嚼してテキストや絵や語り、立体に仕立てる事が作品と受け手のキャッチボールであろう。
青赤星の★ふたごメカ
 さてF—104。単発単座に細身の機体、極薄短小な下半角付きの主翼、巨大な尾翼……デビュー時、“最後の有人戦闘機”と云われた先鋭的なスタイルは、そのままコスモゼロに当てはまる特長を備えている。
F104
 ここからは妄想エンジン始動。コスモゼロはこのF—104と機首部分の形状にヘラクレスオオカブトムシの角がモチーフになっているのではないか(両アイテムとも松本零士作『潜水艦スーパー99』『大純情くん』中に登場している)。眼鏡に巨乳なら委員長だろうというくらいアバウトな偏見である。解釈ゴッコは受け手の楽しみ。真実探求とは関係ない、作品とたわむれる遊びと理解していただきたい。
 という訳で、実機であるF—104の写真をスケール感の参考にしている。ちなみにコスモゼロ(設定上の寸法 に対し)よりF—104の方が小さいというのはチョット認めたくない話。原型製作にあたり、比率変えているのはそんな理由もある。
 サテ、能書きだとこれくらいくっちゃべってしまうが、手の方はどれだけ脳内設定を反映する事ができるのか?それはこれからの製作結果が証明してくれるだろう。ここから先の記述は実製作報告。口先と手先の伝言ゲーム。そのズレもまた楽しみの一つにしたい。
2005.3.28 mon
 スケッチから右記の1枚を選び、三面図用に清書開始。脚はご愛敬。離着陸問題はガンダムの腰なみに解釈が難しい。 ラフ決定稿
2005.4.2 sat
 三面図のクリンアップ完了(上面図の形状がなんとかならんかのう……と、原型組んでいる段階でもスッキリしていない)。これを原寸で出力し、パーツの削り出しに使用。全長300ミリほどのサイズ。主要素材はファンド粘土とプラボード。原型製作の準備はここまで。後はひたすら手を動かすのみ。
 『濃爆おたく先生』(徳光康之:講談社)のエピソードに“ビームサーベル2本もいらない”“メインカメラ2個もいらない”と削りまくる「GM開発史」がある。“盾に連邦マークいらない”“アレははずしてはいかんのだ”とゆー下りが特に面白い。
 ウケ的にもモデル的にも絶対はずせないツボ、ソレを押さえる事ができればガッツポーズである。と言いつつ、左右対称の難易度が襲いかかる製作実践編を待たれよ。(2005.4.26記)
2005.4.2 sat
メインフレーム  三面図を貼ってプラボードを切り出し、胴体ベースを組立てる。
 航空機はよく魚に例えられる。コスモゼロも例にもれず、組んでみるとサンマかサヨリみたいなライン。
 スケッチ中に固まってきた“コスモゼロは胴体の解釈がすべてを決定する”という推測は、背中からお腹へのカーブに対して発したもの。この段階でかなりラインが伺えたのは、事後の作業にとっても幸いだった。打たれ弱いもので……
2005.4.3 sun
メインフレーム2  ファンド粘土を盛り付けるため、プラボードに穴を空け、木の棒を差し込み芯材とする。ペタペタ盛って胴体部分の作成。残りのパーツは全て心材ナシの粘土100%製作。一番気になるのは強度だと思うが、作業中なんども床(木製)に落としたけど、先端が欠けることはあってもパーツが割れてしまった事はなかった。
2005.4.4 mon〜4.17 sun
粘土原型1  各パーツの製作。透明シートに差し込んだ三面図の上に粘土のっけておおまかな形をこね上げる。紡錘形パーツが多い。基本パーツを揃えたのが4月5日(右記参照)。結構サクサクと進むのは我ながら嬉しい……のはここまで、後はひたすら削って削って削るだけの日々が続く。
 エンジンナセルはスティックノリに粘土を巻きつけ、おおまかな正円に近づけた。ドロップタンク、翼端のトゲ等の円錐パーツはガス生命体グラス同様目分量。メカニカルな仕上がりはとても期待できない。
 それでもなんとかなるかのぅという拠り所は、アニメ航空機をリアリティで測る基準値が生まれたのは『超時空要塞マクロス』以後であり、それ以前に作られたコスモゼロは別のモノサシ、“松本度数”で測られるべきモデルという思いが強いのである。(スタジオぬえ含有率はちょっと置くとして)コスモタイガーは松本度数低くて食指動かねーよなーという使い方……言い訳っぽい?
2005.4.17 sun
粘土原型2  ガンド・ロワのシリコーン型を使い、仮ディスプレイスタンドを作る。 原型は磨きと削りでパーツらしい表情が出てきた(右記参照)。エンジン内部のフィンを粘土板から切り出し、キャノピー部分の粘土盛りまでやる。
 胴体とエンジン部分仮合体、主翼部分も真鍮線入れて仮合体。着工から半月後にパーツ重ねる事が出来たのは予想外の進行ぶり。まだぜい肉つきすぎだが完成イメージが浮かぶ。
2005.4.18 mon〜5.6 fri
前方左上カット  複数パーツをレジンキャストで複製。モールド彫り、真鍮線を通してパーツ結合、すき間埋めとクラック部分の補修。磨いて削っての繰り返しでバランスを整える(こればっか。ひたすらの反復作業)。立体物を左右均等にパーツを揃え、モールド入れていくのはむずかしい。四半世紀前に買ったデバイダーがやっと活躍の場を見出す。そうしてGWに突入。着工から1ヶ月、磨いて削っての日々の果てに機体原型がほぼ完成。
上面カット 下面カット
前方右上カット 後方上左カット
左側面カット 前方左下カット  主翼の下半角が三面図より強いが、グッと全体がひきしまった。あえて言おう、コスモゼロ外見上のツボはココにあると。ほぼ一ヶ月での成果、全体のシェイプアップはもちろん未製作のコックピット、インテーク後部フィンも残っているので終了には程遠いが峠は越えた感触。これがラブタコス製コスモゼロのプロポーションである。
 形にした以上、ツッコミは甘んじて受ける所存。次回、色付きの機体が見れるのか?本人も判らないフィニッシュ篇を待たれよ。(いつになるのか?)(2005.5.11記)
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