ラブタコス戦記070225 ‹‹ 松本メーター製作記 ›› ラブタコス戦記070812 ダウンアイコン
 便宜上デザインと記述しているものの、松本メーターが本領を発揮するのはページ狭しと埋め尽くされた機械空間を表現する背景美術、パクリようのない(アレンジ不可能という意味の)オリジナリティを持つ文様の部類に属すると考えている。無論メカパーツとしてもベッドや椅子に埋め込まれたり機械伯爵の頭みたく忘れられない造形に貢献しているのは言うまでもない。
 なおデザインの原点といわれるクロノグラフとの相違は明瞭で、松本メーターの針の回転軸は文字盤の中心より下方向にずらしてある。時計のように針が回るのでなく針が振れるのがデフォルト。表現の仕様は創作、松本零士氏の達見ぶりに脱帽する。クロノグラフという目に見えるヒントがあろうと凡人にその先の意匠は見いだせないのだから。
2007.4.22 sun〜
スケッチ  まず従来通りスケッチから初めて形状を詰めていく。思えば松本メーターの落書きはしても同人誌活動を通じてペン入れなどはついぞやった事がなかった。ワンフェスに関わらなけばメーター解析するほど凝視する機会もなかった訳だ。
 ただしこれに先立つ2005年8月のワンフェス終了後、「藤本窯」主宰であるDUN氏向けに松本メーターの提案をしたことがある(コードネーム:大江戸温泉の誓い。下記画像がその時の最終作図)。パーツ形状はラブタコス版の完成モデルとそうズレちゃいないが、頭の中の松本メーターと全然シンクロしないので放り投げてしまったのである(前述した針の回転軸に気づいてなかった事が大きい)。
初期稿  再チャレンジとなる今回、無限ループに陥ることなく実製作のステップへ進めたのは意外にも自らのスキルアップによるものだった。ディーラー参加は伊達じゃない、中年デブオタでも継続は力になるんである。文字盤デザインは固まらないが全体の仕様だけはパカパカ進んでいく。
 が、版権申請に余裕を持てない人間にゃ墓穴という特典がもれなくついてくるのは言うまでもない。いつだって模型の神様は公平だ。
 あまり煮詰めないままとりかかった1次原型の設計。後々これが無駄手間む原因となるから因果応報。推敲怠ったバチが当たる事になる。次回、そんな未来は知る由もなく旅先のホテルでペーパーがけする無法ぶりが痛々の、レジン原型突入篇を待たれよ。
(2007.10.10記)
2007.4.27 fri
作図  紙原型から始めるのは機械が正確な図形を出力してくれるので、パーツの切り出しや組立誤差を考えても段差付円筒形のベースを仕上げる最短距離だと考えた。
 旋盤があればもっと早く綺麗な最終原型を手に入れる事ができるのだろうけど、それは本物の原型師が棲む領域の話だろう。
2007.4.28 sat
紙原型  出力図面をイラストボードに貼り込み組立。レジン原型取り用の一次原型なのでおおまかに仕上がれば問題ない。周囲にスチロールを貼って削り込み周辺のカーブを検討。
 スリットの深さが外見上の肝、原型師の血中松本濃度がどれだけ濃いかが試される。イコール正解を提示するものではなく、自分の認識を具現化できるかが問われる。
 スキマ埋めにモデリングペーストを全体に塗ってしばし乾燥、一次原型が完成。底蓋はイラストボードをそのまま使用。2個分作っても1日で完了。実にスムーズに進んだ。
 前日か前々日に暫定メーター文字盤に透明樹脂を流して硬化させているがホコリ除けの覆いが付着してしまい、翌日注型し直している。文字盤自体は去年の7月に作ったものだからようやくの実戦投入。文字盤はやり直すのでダミーでしかないが版権申請用にはこれが検討対象となるので、この世に産まれて役に立つことは間違いない。
紙原型組み
スチロール挟み
紙原型素体
ペーストコーティング
2007.4.29 sat〜5.6 wed
キャスト原型
キャスト整形
文字盤テスト  午前中にゴム型を取り。ゴムの硬化が早かったので4時間後にはレジンキャスト注入して二次原型を抜き終わる。後はひたすらサンドペーパーで削り出しての整形作業(本来なら一週間もかかる作業ではないが休日出勤や『時かけ』旅行でGW中はほとんど進展していない)。
 旅先のホテルでちまちま、休日出勤開けで終日磨き、ほぼ完成型に近づいたのが左記の写真。文字盤も気泡が少なく透明度も申し分なし。ところが離型剤落としにブレーキクリーナーを吹いたらサッと曇ってしまう。エポキシ透明樹脂には天敵だったのか?(表面の平滑度が落ちただけなので、後で透明塗料塗ったら透明度は戻ったので一安心)
 この後5月9日までパーツ磨きと細かい穴のパテ埋め、文字盤の墨入れを行い、当方に仮組の用意ありの段階まで来て覚悟完了である。
 手を動かしているウチに楽しくなるのがフィードバック効果というやつだろう。是が非でも実現させるのだというモチベーションがなくとも、カタチになっていく様に自らが接していくと転がる勢いが生まれるものである。
 が、モチベーションの低さはワキの甘さの意であることは言うまでもない。次回、いよいよ表面化する原型リテイク差し戻し判決篇を待たれよ。(2007.11.22記)
2007.5.9 wed
申請用モデル
申請用モデル裏
MOCO装着アップ
MOCO装着
 上記写真が主要パーツ一覧。組み立てると左記のような構成になる。とはいっても文字盤はダミー、磁石は予定していた口径が手に入らず底蓋のポケット部分がユルユル。本体には固定用のネジ穴開けるスペースがない(写真は瞬着で仮止めしてあるだけ)。
 実情はワンフェス版権審査用の写真を撮るために急造した試作品でしかない(〆切から逆算するとこの日が発送リミットだった)。
 という訳でここからが本原型へのアプローチとなる。甘い段取りからは二度手間しか産まれない。しかも突貫作業の反動で作業から逃げてしまう小者ぶりが痛すぎる。
2007.6.4 mon〜6.17 sun
内径リサイズ
裏蓋検討
ゴム型改修  前回から約1ヶ月ほったらかしての作業再開。内径のリサイズ用にイラストボードとスチロールで調整原型。サイズ変更にあわせ底蓋も設計変更。イラストボードで原型組み。
 リサイズ用ゴム型にするため雌型を作って雄型に変換する、これも二度手間な作業。あまり乗り気になれなかったのは事がうまく進まない状況に自らが貶めている自業自得と、組み上げるというモチベーションの水位が下がっているため。これまで作ってきたものには依って立つこだわりというのが存在していた。
 ビジュアル的にはインパクトを持つ意匠であるものの松本世界ではあらゆる場所に使用されているため、最高の使用例というのが焼き付いていないのである。それに何と言っても松本メーターは群体でこそ真価を発揮する。小ロット2パターンの生産数では全然足りない存在なのだ。松本の遺伝子を持つ原型師の方々に是非とも凹式メーターの開発を期待するものである。
リサイズ原型  右図は文字盤検討用に組んだもので内径リサイズ前の段階(内径はでっぱっているギザギザ部分までせばめられる)。白のエナメル塗料がうまく溝に残り、黒で埋めても暗くなったりはしないので量産時にはこの仕様で進めることにする。
 結局は改修用ボディ以外、ギザギザリングも底蓋も文字盤も新規製作する事になった。夏のワンフェスに間に合ったのはただただパーツの少なさに救われただけである。
 次回、松本メーター完結編。組立キットなら結構楽勝なスケジュールでも完成品モデルはそーはいかない。抜いて塗って組み立てての往復運動を待たれよ。
(2007.12.5記)
 上は7月15日(日)にゴム型を取り、16日(月)より透明樹脂を流して量産、7月28日(土)に撮影した改修型文字盤。改修前のは自分の色を出そうとして失敗したため、『ミライザーバン』掲載のメーターをベースデザインにして再構成。抜き出した文字盤並べると、戦場まんがシリーズのセリフではないが松本メーターは大量投入してこそ真価を発揮することがよく判る。
2007.6.19 tue〜7.15 sun
本体原型
版権表記
 左は内径を狭めた本体原型。ネジ止め用のスペースを設けたので内側のリング、底蓋も作り直し。
 底蓋の版権表記は通常印刷用樹脂板を貼り込んで5分もかからずに終わる作業であったが、今回正式表記が判明する前に発注してしまったため、マルシー(記号)零時社から切りだし、足りない分はプラ版にルーターで彫り込んで組み合わせる凸凹表記となる。読みにくい事しきり。ここにも“急いては事をし損じる”例が刻印されているのだった。
 モールド彫りというのは実に難しい。フォルムまで持っていけてもその先の部分でつまずいてしまう。モーターヘッドがガレキのレベルを底上げしたとゆーのもうなずける話である。
樹脂板メーター原型
エポキシ文字盤
 そんな事情もあり、モールドの塊である文字盤部分は従来通りに印刷用樹脂板『トレリーフ』(右図)を原型に用いている訳である。これがなければ松本メーターを作る目算など立てられる訳もない。無論、神クラスの原型師なら直接彫り上げる事も可能であろう。通貨紙幣も人の手によるものなのだし。
 作図データの再現性に関しては申し分なく、最も細い線は約0・25ミリ。ゴム型に反転し、透明樹脂で複製をとっても凹部分はつぶれることなく塗料が流し込まれているのがお判りだろう。細かい作業のできない当方にとっては力強いアイテムである。
 それだけに無数のメーターをアナログ描きで埋め尽くした松本漫画の凄まじさはまさにプロの仕事。2タイプの図面だけでギブアップしたへたれ豚には到底追いつけぬ次元で週刊連載とか行っていたのであるから空恐ろしい。
2007.7.21 sat〜8.10 fri
量産終了
塗装風景
 本体パーツの複製完了(文字盤は翌週末に上がる)。さらにここから仕上げていかねばならないのが完成品仕様のツライ所。慣れぬエアブラシでの塗装がスケジュールをどんどん追い込んでいく。と、こうやって夏の記述をするかたわら08年冬の再販に向け複製作業にとりかかっている訳で、ソロディーラーの余裕の無さがあからさま。複製作業がどんどん嫌になっていく。閑話休題。
 文字盤の白部分はタミヤのエナメル塗料、黒部分はクレオスの水性ホビーカラーを使用している。本体は全てクレオスのMr・カラー。完成品はスケッチ段階のイメージとブレなく飛躍もなくという穏当なもの。ぎりぎりのモチベーションでは感慨や作業の楽しさといった厚みが生まれぬのもいたしかたない。
 申請通りに出展し、アマチュアディーラーの信用を落とさずに済んだ安堵感くらいだろうか。
完成版  これにてラブタコス版松本メーターの製作記録は終了。ガンド・ロワからプテラスピス号にいたるノウハウが盛り込まれたアイテムとなり、いわばラブタコスの集大成モデルとして位置づけられよう。で、今やっている作品はガス生命体グラスのノウハウを足がかりに進めている。
 三歩進んで二歩下がる、遠く時の輪の接するぷうぺら版“ナイスの日”遭遇の次回を待たれよ。
(2007.12.21記)
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