松本メーター製作記 ‹‹ ラブタコス戦記070812 ›› 松本式突起型棍棒製作篇 ダウンアイコン
 年々、仕込みが圧迫されているワンフェス参戦。何事も体力次第だなと思う。宅配便で送る時間もなかったため、最終兵器のように重いガンド・ロワのキットも持参しエライ目にあった。唯一の救いは早目に上京したため前日搬入が出来たこと。おかげで翌日の右往左往ぶりが軽減できたのは嬉しい。ちょっと変則的な体制で迎えた夏の祝祭覚え書き。
ブース全景  これが今回のラインナップ。ガンド・ロワ、プテラスピス号、にゅうにゅうちゃんと新作の松本メーター(マグネット)。メーターはディスプレイ用に買ったマグネットシートにフェライト磁石がくっつかなかったため、急遽クリップをボードに貼り付けてディスプレイ。そのため表面がボコボコしてしまったのが残念。予告していたしおりは見事落としてしまった。
 ポップ関係は前日「キンコーズ」で作図していたが全部出力する気力がなく、途中で投げ出してしまう。当日の朝、「キンコーズ」で残りを作図・プリントして会場入り。テンション低い中年デブオタだ(スケールモデル系と思われるディーラーの人も出力していた)。
 さて、今回のラインナップにはない左のポップとモデルは何かといえば……
フルチューンド・ゼロ  今回の助っ人であり、前回のワンフェスにおける立役者である、あの神機『フルチューンド・ゼロ』を製作した岩手のプライベーター、エス氏が実機を持参されるというので設けた特別ブース用ディスプレイなのである。まさに凱旋飛行。あろう事か『フルペイント・合体ロボりすぺくとちゃん』まで持ち込んでもらった(本ページ写真の大半もエス氏撮影のもの。どうもありがとうございます)。
 狭い卓とはいえ、この極上モデルをおっぱいフィギュアのとなりに置いて申し訳ねぇです。クゥ。
段落用タイトル
開幕〜閉幕覚え書き 時計持ってなかったので時系列おおざっぱ
開幕ゲート
当ブース(B05−08)より撮影。目の前が入場ゲート!
 ガンド・ロワの組立以外は全て完了し、場内は開場前の最終アナウンスが流れる……と、出し抜けに人の波が起こり、競走馬を追い立てるような音楽が流れ、なし崩しなオープニングで幕を開けてしまった。開場のアナウンスもそれに伴う拍手すら置き去りにされ、しばしとまどう。これには初めてのディーラー参加となるエス氏もびっくり。
 当日に説明はなく、ネットの書き込みによれば企業ブースの誰かが音響テストで流した音楽をオープニングと間違えてダッシュが起こり、止める術もなく始まったという。2000年から参加して初めての大トラブル。嗚呼……関サマのMCで盛り上げて始まった頃が懐かしい。お祭りなんだもの。オープニングはかっこよくいきたいものだ。
 もっとも、弱小ソロディーラーにはDダッシュも第一波の一般入場ラッシュも関係ないのは確か。こちらはガンド・ロワの組立を始めるだけのゆとりに満ちている。
松本メーター覚え書き
メータータイトル メーター  受けた→良かった。で終わってもいいくらいブースを訪れた方に喜んでもらう。たった4パーツ組み上げるにえらく手間取ったアイテムだけに一安心。最初に反応してくれたのはメイドコスの女性二人。おつりがなかったので後から取りに来ていただいた。購入したあと再度訪れもう1セット買われたディーラーの方もいて、ポスターに使った“世界最強アイコン”のコピーは伊達じゃないと確信。
 自分をこの世界へ誘った「総統グラス(ホントは独裁グラス)」の最大特性である「使えるガレキ」というポジションを自分でも成し遂げたのが一番の収穫。「冷蔵庫」というだけで 使用目的が相手に伝わるシンプルさ。会話の中に“冷蔵庫は黒く塗れ”を連発してたなぁ。購入された方は是非使い倒していただきたい。
 今回の製作にあたり、田舎では手に入らなかった裏蓋用のタッピンネジを秋葉原で購入してくれたエム氏に謝意を。完成品を展示する事が出来た最大の功労者はあなたです。ありがとうございました。
ガンド・ロワ覚え書き
ガンド・ロワタイトル  写真はたぶん“バイラル・ジンはこのくらい?”という会話をしている時のものだと思う(実際はもっと小さい)。このやりとりが出来るのもちゃんとディスプレイできた事による恩恵なのは言うまでもない。
 塗装段階で大失敗!だった前モデルから1年。やっと“モールドを彫ったペーパークラフト”本来の姿を公開する事ができた。マニュアルも完全版をお届けできたので、今回が真のお披露目といえるだろう。 ガンド・ロワ  ブースが入場口正面であった事も幸いし、見た人のリアクションは過去最大の盛況。けっこうデカイモデルを続けて出展してたので認識してる人は多いと思ったが、初見の人が続々見ていかれる。ワンフェスの規模あなどりがたし。まさかと思った“完売しました”のスケブ殴り書きもやれたあたり、ライブでは何が起こるか判らないを実感。(まぁ3基出展ですから)。
 嬉しかったのは正統派ペパクラディーラーの方(サイト見たらあのペパクラ版バングを作られた所だった)から激賞されたことで、ペーパークラフトとは名ばかりの実質パネル貼り合わせモデルである本作には身に余る光栄。ぞんざいな彫りや組みであっても“その意気や良し!”という評価が本モデルの正しい見方である。ともあれ時間と手間とキットの重さでトップを誇るラブタコスフラッグシップの本領は発動完了。反応してくれた方に感謝します。
プテラスピス号覚え書き
プテラスピスタイトル  前回、艦首のカスタム化を検討されてるという方が再訪され、携帯(デジカメだったかもしれん)画像で作業工程の一部を見せてもらう。小さめのマグライトが挿入された状態で、サイズ的にフィットしたもの。後は装甲の開口状態を再現できれば問題ないと思われるが、原型作った人間でありながら空間把握力がないためアドバイスすらできず。モデラー氏のこだわりに期待するのみである。役立たずで申し訳ない。
にゅうにゅうちゃん覚え書き
にゅにゅうタイトル  ターンテーブルに“回せます”という表記をしていたら、ターンテーブルではなくにゅうにゅうちゃんを回す人が続出。テーブルよかおっぱい回したいと思う人の性ゆえか(真鍮線差して台座に置いているだけなのでにゅうにゅうちゃん自体が回ってしまうのも誤解を生んだ)。面白かったのは後日、ネットのワンフェスレポ見てたら“えっちいフィギュア”と“ディフォルメフィギュア”の項に載っていた事。えっちいかどうかの前にフィギュアとして成立してないだろうこれは。乳首つければ戦車だってえっちく見えるのやしれん。
フルチューンド・ゼロ覚え書き
フルチューンド・ゼロタイトル  今回ガンド・ロワも松本メーターも間に合い、充分な反応をもらったんでラブタコスの参戦としてはとても満足だった。これにアフターバーナーやF1タービン的な加速をもって楽しみが倍増したのはやっぱりこれ、エス氏製作のフルチューンド・ゼロの展示だった。
 今後、これ以上に作り込まれたモデルが卓上に並ぶことはないだろうから、今回当ブースに立ち寄られた方はとても運がいい。終始カメラのシャッターが切られていたのは言うまでもない。また作品は作品を呼ぶとでもいおうか。栃木のエヌ氏という方が訪れ、リアルタイム(70年代)で作られたバンダイコスモゼロのチューンドモデル写真や懐かしの『模型情報』別冊(82年)に載ったヤマト坊ヶ崎バージョンのコピーなどいただく。さらに、ヤマトではなく松本様式たっぷりの写真をいただき小躍りした。今は亡き『宇宙船』の投稿欄に載ったものだという。下記の多砲身戦車がそれ。
境界線上のリアル
多砲身戦車  スケールモデルに松本様式の三連砲塔。グイーっとパースがかったアングルが示すシルエットは松本分たっぷりの実在兵器な趣き。煎じ詰めれば『GUNDAM・FIX』で観たかった風景がワンパッケージに収まっているといえる。これは自身のリアル観にピタリとはまった。
 砲身3本仕様を具現化した松本零士の抜きん出たセンスとスケールモデルへ移植し、破綻なくまとめあげたエヌ氏の模型力が組み上げた絶妙のバランス。前日エス氏が語っていた、“スケールモデルの世界にはすごい人たちがいる”というのを実感する。更に教えられた衝撃の事実。
訂正とお詫び
『時かけ』ネタ 平謝り  え〜……いままでコスモゼロに関してはこんな風に公言してきました。→
 『ヤマト』の放映年(1974)から逆算するとF−16の公開情報を元にコスモゼロへのインスパイアがあったとは考えられない—というのが自説であったが、エヌ氏によると74年までにはF−16の情報は入っていたという(正確な年月日は不明)。
 もぅコチラの浅い知識で放言しまくった事をお詫びすると共に、F−16テイストのコスモゼロがワンフェスに登場する事を期待するものであります。実際F—104やF−16がコスモゼロに影響しているかなどというのは外野の憶測にすぎず、どのような解釈をもって組み上がるかは原型つくる人間の推察と思い入れ次第。少なくともオフィシャルな三面図を良しとしない層の発現を見たいと思うですよ。
そして閉会へ
閉会間際  と言うわけで終盤はエス氏とエヌ氏、その友人と通りすがりの方を交えて松本ばなしだかヤマトばなしだか訳わからんが70年代テイスト爆発の立ち話を閉会時間まで楽しませていただいた。これがあるからワンフェスにはディーラーで参加したくなるのだ。
 上の例でも判るように、今世紀になって参戦した自分には遠く及ばない知識と経験値を持った人と話す機会が生まれたりする(いつも立ち寄ってくださるプロモデラーの方もそう。今回「佐藤[ロボ師]拓ワンフェスの足跡展」に協力されたという)。まったく異なる土地で生活している者同士がシームレスに会話へと流れる自然さ。自分の立ち位置からはこれが最もワンダーな部分。自分の作ったものがコミュニケーションのきっかけを産み出してくれる。出展物は売り物以前に自分の履歴書として機能している。
 記憶の中のモチベーション貯金は松本メーターですっかり空っぽ。それだけに今回の盛況ぶりは嬉しい限り。冬のワンフェスは申し込んだものの、舞台はすでに“こんなのあってもいいかのぅ”モードへ移行。造形の高みへベクトルが向いてない活動必至の秋である。
 楽しめた記憶は十二分にいただいたのでまぁいいか。ご来訪された皆様に感謝します。ご縁があればまた冬に。(ラブタコス戦記070812 完)
付記 夏フェス07モデル製作コスト (消費税入れたり入れなかったり)
磁石MG104(3個組)×3 
樹脂ベラ(60mm)
サンドペーパー#180
サンドペーパー#240×3
サンドペーパー#400
GKキャスト
信越シリコーンKE-12×4
トリコンジャック
エアテックスAPC-002
エアテックスストロングクリーナー×2
クレオスレジンプライマー×2
パイプ用ファン
アルミダクト
換気扇フィルター×5 
両面テープ×5
樹脂板(A4)
プラ板(1mm)
マスキングテープ
トップコート×5
945
190
80
240
80
2761
11920
9240
21900
1890
482
3980
1100
525
525
6000
525
231
2625
水性ホビーカラーうすめ液
Mr.カラーうすめ液
レベリングうすめ液×2
水性ホビーカラー(黒)×3
Mr.カラー×3(灰・灰緑色)
タミヤエナメルカラー(白)×2
ブレーキクリーナー
ピペット×3
ウレタンシート
磁石(25ミリ)×24
スプレーのり
スポイド
瞬間接着剤(ゼリー状)
ドリル(1.4ミリ)
塗料ビン×4
タッピンネジ100本
木工用ボンド
耐水ペーパー×6
total
263
158
630
360
480
314
580
480
105
1200
735
52
640
504
252
126
233
540
72,881
 エアブラシ一式買わなければモデル制作費は5万円台を切る低コスト。注型作業がメーターのみで済んだのが要因。エアブラシは使い込めばなんとかなるだろう。さるディーラーの方から“遊星ランプありますか?”と聞かれとても嬉しかった。このサイトや出展物の選択・パッケージングなどのコンセプトも評価してもらう。なにより活動初期からチェックしてもらえているのは光栄というほかない。
 楽しい時間はあっという間に過ぎるというが、今回の参戦はしごくゆっくりと時が流れて満ち足りた時間を満喫できた。長き高揚の後に待ち受けるのが何かは当然予想できる。それでもいいやという心持ちで受け止められるのは、最大幅の針の振れを経験させてもらったからに他ならない。イベントというライブは一瞬でも、そこで体感したものは永く刻まれる。
 後の時代まで持って行ける思い出は宝物。動けばなんとかなるもんだ。
(2007.10.2記)
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