汎用単座戦闘機復活篇 ‹‹ 惑星間弾道弾製作篇 ›› ラブタコス戦記100725 ダウンアイコン
 今回はもうWFにエントリーするのが主目的の製作。こだわって作る部分はとても薄い。超大型ミサイルに関しては宇宙空間をグリュングリュン回りながら地球へ向かってるワンダーな1カットのみが作るとっかかり。果たして原作のようにとりあえず目標地点までは到着できるのか?
 現在の到達地点はだいだい土星あたりのよたよた巡航日誌第1章。次はもう最終章にちがいない。
2010.2.22 mon〜4.10 sat スケッチ
スケッチ うろ覚え 最初は記憶で描き散らかす。優先順位は記憶>劇中カット>設定画の順。スリットの数や曲面形状は作る人間毎にかなりばらつきが出るだろう。そこは“こう決めたんだ”と自分が信じるのみである
 超大型ミサイルは単純なフォルムでごまかしの効かないシルエット。突起がなくても砲弾部分と推進ブロックを取り巻く歯車状のスリットだけで充分に松本テイスト。
 設定画はかなりラフでも作画したアニメーターの力で巨大な構造物が回りながら飛んでいる実感を観る者に印象づける。バランスがすべてを決めるということだろう。
 もうひとつ悩んだのは原型の分割。スイカに例えれば輪切りにするか円周に沿って舟形に分けるか?パーツ少ない方が誤差も広がらないだろうと輪切り形に決める。一番時間を取る車中スケッチ、前回は『サマーウォーズ』で今回は『マイマイ新子と千年の魔法』。残念な事に行動半径上でかかっている上映館と上映期間の少なさ、資金不足が重なってポンポン出かけることができなかった。
 誘惑の多い自宅より集中できる場所を見つける事。これは案外必要なのかと思う。一番安く上がるのは図書館の読書机か?
2010.4.11〜4.17 sat 作 図
作図 作図 B4用紙に出力(家のA4プリンターでは直径が切れてしまう)した紙フレーム原図。コンビニで「イラストレーター」のデータ出力ができる……サービスショップのない田舎じゃありがたいことしきり
 これという決定稿のないまま作図突入。最初は全長400ミリで設定、側面図出力してみたらあまりのボリュームに恐れをなし330ミリにスケールダウン。それでもこれを回転させた時の容積を想像すると、出来上がりの満足よりシリコーンゴムの使用量に恐れをなす。
 “大きく作らずしてなんの超大型ミサイルか”が大前提。当方の目標と限界の折り合いはこの辺にある。
2010.4.18 sun〜4.22 thu 切り出し
紙原型
 イラストボードに原図を貼り切り出した紙フレーム原型。思ったよりパーツが必要になって切り出すのがとても面倒くさい。ペパクラならこれを煮詰めれば済みそう。粘土原型の踏み台だけではもったいないパーツ群。このジャラジャラ感が模型な気分。
フレーム フレーム ミサイルというよりモンゴルフェの熱気球だ
隙間埋め 紙貼り 上部は新聞紙、推進ブロックの歯車はコピー用紙で目貼り。線が面になると一気にボリュームが増して威圧感がでる。この方法だと張り子作った方がずっと近道
2010.4.23 fri〜4.28 wed 土台完成〜粘土貼り
パーツ分け オープンゲット 本体は4パーツで構成。底部分の形状は別パーツをはめ込み予定
 フレームを組み立て隙間を紙でふさぐ。推進ブロックは設計ミスで再組立ての迷い道(切り出し時に気づけばそのまま使えたのに)。パーツ切り出してる時また設計ミスが見つかり新聞紙貼った部分を修正。紙のおかげで修正が楽なのは皮肉だ。
 外面を貼り終えた後、2ミリ厚に伸ばしたファンド粘土を重ね貼り。現在7袋使用。これからやる補強・修正を考えると2ケタいきそうである。版権本申請締切が一週間を切っているので夜は電気ストーブつけて強制乾燥(24時間で完全乾燥はとても無理)。
 表面は乾いているのでサンドペーパーをかける。粘土が収縮しフレームの内側に凹んだ格好。荒削り→厚盛り→乾燥を2回ほど繰り返して最低限のシルエットを立てる。この段階で写真撮って版権申請に提出(比較図写真参照)。
天日干し 天日干し 素材が粘土だけに壺とか花瓶作ってるようだ
 デビュー作の遊星ランプ(プロトタイプ)は樹脂粘土を使ったワンオフモデル。最初の量産型もガシャポンケースをそのまま流用した改造品だった。複製を前提とした原型作り初めて7年あまり。
 あの頃を思えば、ここまで大きいモデルをプラン通りに作れるノウハウが備わっただけでも続ける事の大切さが判る(どのくらいで組めるからスタートはこのあたりという逆算までやれてしまうズルさまでついてきた)。  とは言っても美少女フィギュアや完全変形メカという造形そのものの凄みへと進む向上心には繋がらない。リスク回避の安いパイで上がる性癖はガレージキットスピリットが存在する世界の対岸にある。作ることより参加する事が優先するディーラーのチャレンジ目標は水平にしか働かない。まるで自分のウエストのように。
比較図 比較図 このサイズだと視覚より触った方が楽める。手に抱えた時の量感や弾頭の曲線をナデナデして伝わる充足感。橋の欄干やお寺の渡りにある擬宝珠に手を当てたくなるのと同じものやしれん
 これが4月までの製作状況。版権申請審査専用モデルでしかなく、ゴム型作ってレジンキャスト流し込めるパーツ原型にはほど遠い。できれば梅雨明けまでに仕上げたいもの。たいてい自分の発言は自ら反古にしてしまうので当てにはならないが……まずは請審に受かりますように。
 ようやくWF参加前に作業状況の更新を果たす(当たり前の事をできない方がどうかしている)。
 模型作っている感覚がまるでない今回の挑戦。ほとばしる情熱ってどんなだっけとゆ〜中年の粘土工作。起きてるより寝る方に偏り始めたぐうたら魂の顛末を待たれよ。
(2010.5.28記)
 版権申請時に提出したシルエットとほぼ変わらないのに仕上げ〜複製はイベント直前までかかるいつものペース。大きいものほど手を入れる面積が増えるという当たり前の仕様に翻弄されまくった“ツメが甘いからアマチュアなのやしれん”と思う超大型ミサイル製作の顛末。いったい何回思っているのか。
2010.5.9 sun〜5.31 mon インターバル
 版権申請時、紙パーツだった推進ノズルを石粉粘土仕様に。粘土こねて板作って乾燥。で、そこから進んでいない5月。原型作業よりサイトまとめる方を優先した日々。
ノズル原型
ノズル原型 ノズル原型 内側パーツはスリットを入れて本体部分の空気が抜けるようにする。密閉された空間を想像すると恐くなるので
2010.6.1 tue〜6.21 mon 補修開始
中身 ボディ内枠 3つのパーツをクリップで固定し、表面の継ぎ目部分を粘土で薄く被ってラインを整える。粘土が固まってしまえば紙フレームは簡単に引き抜けた
 平日は早目に起きて表面盛り付け〜磨いて調整の繰り返し。紙フレームの上から粘土貼って形状を決めているので精度はおおまか。特に弾頭部分は粘土の乾燥収縮でフレームがゆがんでしまったのが予想外のアクシデント。厚みの均一化と弾頭〜ウエスト部分、推進器のスリット彫り修正、推進ノズルパーツの作成に費やす。
 月頭に『ゼーガペイン』観て一気に舞浜サーバーへ没入。サイズ比較にヤマトのCDを置いたりしているが今回のメインBGMはゼーガのサントラを一番聴いていた。最初に買ったレコードが交響組曲『宇宙戦艦ヤマト』、最初に買ったブルーレイディスクが『ゼーガペイン』。時を経ても視聴環境を変化させるのはアニメなのだった。
 とはいっても立体化への興味は松本様式に傾きっぱなし。CGでも手描きでも終着駅はシルエットの美しさ。線の多さやテクスチャーの密度は肌目の問題で、切れ込みと歯車状のリングだけで宇宙スケールの超巨大惑星間弾道弾をビジュアル化せしめた松本様式の構成力はいまだ一線級。時が経ってもデザインの価値は変わらない。
2010.7.1 thu〜7.11 sun 主要パーツ完成
原型 原型一覧 大枠ができた後は削り地獄。サンドペーパーは40番が基本。それでも荒削りには手間取り(乾燥した石粉粘土の強度は半端ない)、24番相当のハンドモーター取付用ゴム地円形ペーパーでやっと理想の削り具合を得る。
 内側に軸打ち用マウントを追加し、増えた分の重量を相殺する減量削り。レジンキャストの量が馬鹿にならないのでギリギリまで削る。たどり着いたのは本体注型に910グラム、ディスプレイスタンド400グラムの徳盛りサイズ。どんなにうまいお肉であっても食いきれないボリューム。
 と言いつつノズルパーツの裏はまだ完成していない。本体のゴム型取りと並行して作成していた。7月13日から始めて18日に完成。イベント上京まで一週間切っていた遅れぶり。
2010.7.12 mon〜7.23 fri ゴム型作成〜キャスト複製
植木鉢01 植木鉢02
植木鉢製ゴム型用外骨格
 シリコーンゴムの節約と型くずれ防止を意図した植木鉢フレーム。複製時にその効果は実証されたものの、推進器パーツのゴム型は1回作り直し、弾頭部分のゴム型は植木鉢から引き剥がすことができず叩き割ってしまった。そのためゴム節約は水泡に帰す。ゴム缶6缶……これは痛かった。
 内側に軸打ち用マウントを追加し、増えた分の重量を相殺する減量削り。レジンキャストの量が馬鹿にならないのでギリギリまで削る。たどり着いたのは本体注型に910グラム、ディスプレイスタンド400グラムの徳盛りサイズ。どんなにうまいお肉であっても食いきれないボリューム。
スタンド原型
スタンド原型
 保育粘土で土手を作り、スタンド部分のラフ原型をキャスト流して作成、ガミラス本星の複製キャストとシリコーンゴム硬化剤のフタをくっつけ、再び粘土で土手作って底部分にキャスト流してパーツ結合。ぺーバーがけして原型完成。スタンドだけで400グラムは無駄の固まり。肉抜き穴ぐらい作って置くべきだった。
複製熱地獄
離型剤落とし
 キャストの硬化熱が夏の暑さを加速させ、複製品が場所を埋め尽くしていく。ゴム型の重さも中年にはキツイ。ただでさえストレスのたまりやすい複製作業が二重三重に敬遠したくなる。総生産数は一桁で終わる事必至である。
 離型剤落としはファインモールドのスプレー式離型剤落としを使って洗浄。触ってみて落ちてる感ありまくり。とても簡単便利なガレキ版バスマジックリン。また使おう。
2010.7.23 fri 洗浄〜虫干し
陰干し
 縁側を占有する複製パーツ。ウエストパーツはまだ複製が終わっていない金曜日の朝。今思うと夏だから早起きして複製とかやれた訳で、冬だととても起きられなかっただろう。キャストの硬化熱に悩まされたが活動時間取れたのは確実に夏のおかげだった。このカットを見ていると“もう複製したくない度”がいや増す。
完成原型  こうしてイベント前日に最後の複製を終え、幕張へ赴いた訳である。当然塗装は間に合わず原型にサフェーサー展示。予定数を出展できただけで幸運だった。
 これにて超大型ミサイル製作は終了。再販審査が通ったら気も量も重い複製とディスプレイ塗装を経て当方のアプローチは完了する。うまく塗れたらご喝采。換気扇改造のスプレーブースをはみ出してしまうので排気対策が求められる。
 自分の扱えるサイズ限界は確認。次は手のひらに納まる大きさにしようと固く心に誓うのであった。経済的にも……現在5割ほど進んでいる次なるアプローチを待たれよ。
(2010.10.14記)
ディスプレイモデル 【2011年3月4日追記】2011年2月6日のワンフェスにて展示したディスプレイモデル(画像は、当日来卓いただいた方より塗装について助言をいただき、後日タミヤのパールクリアーでコーティングしたもの。当方の塗りより金属寄りの質感に振れたと思う。ご教示ありがとうございます)。スタンドは冗長すぎたので作り直した新規仕様。本体部分はダークブルー、ネイビーブルーのスピレー重ね塗り。塗りはアニメ準拠の配色で進めたが、各色とも色味はかなり異なる。記憶と資料の摺り合わせはうまくいかなかった。
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