とりがるーちゃん製作篇 ‹‹ ラブタコス戦記110724 ›› 海洋性フィギュア製作篇 ダウンアイコン
 前回に引き続き、前日搬入開始時間前に幕張メッセへたどり着く先走りぶりを見せる中年デブオタアマディーラー。終了のアナウンスが流れるまでがワンフェス。これからの24時間で半年間のエネルギーが解放される事を思えば、開催に踏み切った海洋堂に感謝。旅費の工面ができずに貸してくれた親にも感謝(うわぁ、これでも社会人かよ)。
 主催する側もディーラーも冬とは違う状況で迎えた夏の祭典。綺羅星輝く星団の片隅で起きた、小さなまたたきの覚え書き。
8-08-10 LOVETACOS ブース全景。し、白が多い
ブース全景  出展数も少なく前日搬入も相まって、当日は9時前に設営が終わる史上最速の覚悟完了。が、設営はそつなく終わったものの、お釣りの用意やキシリッシュ買い忘れたりとディーラー意識に欠ける事しきり。万全という言葉にゃ相変わらず縁がない。“オリジナルだからたいして動かないだろう”という消極さが無意識に出てしまった。
 向かい斜めは「ボーメ屋」ブース。会場出歩く事のない引きこもりディーラーにとって、ビッグネームの出展から完売終了まで目の当たりに出来る格好のポジション。
にゅうにゅうちゃんエリア
にゅうにゅうエリア  テトラパックは三角形がネックで、縦横に整然と並べられなかった。ポップ紙はホテル備え付けのコースターを拝借、ディスプレイベースの円柱にはバラスト代わりに118円のパイナップル缶を内蔵。2缶入れたが1つで充分だった。実戦データとして後のディスプレイ時に役立つだろう
半種ちゃんエリア
半種ちゃんエリア  円筒形パッケは箱詰めも楽だしディスプレイにも貢献できる。いかんせんボリュームが足りず面効果は発揮できず。ひな壇組はディスプレイモデルを強調できるものの、卓上がスッキリしすぎて土産物屋の店頭みたいなにぎやかさに欠ける。
 パーツからパッケまでさらしたいという性癖だと整より雑を選んでしまう。品揃えは同じでもレイアウトが異なるコンビニと個人商店のちがい。
にゅうにゅうちゃん覚え書き
にゅうにゅう覚え書き  目にとめた人はプッと吹き出す率が多い。カタチによるのかネーミングによるものか判らない反応。成人女子の方も気にせず触ってくれるので、エロ寄りでなくジョークアイテムとして受けとめられてんじゃないかと思う。
 無垢バージョンの時も聞こえた“自分で塗らなきゃいけないのかぁ”“組み立てキットじゃねえ”という声。なんで幕張に足を運んで、入場料代わりのガイドブック手にした人間がソコを基準にするかねぇ……たった2パーツくっつけるだけの作業を敬遠されるとは。原型作った人間以上に仕上げる事も可能なのに。そこを楽しみにしないでどうするんだと思う事しきり。模型に自分の色に染める事を求めないなら、それは趣味ではなく買い物の延長でしかない。
 手を動かさない人間がどうしてワンフェスに足を運ぶんだろう。チョチョッとつまんでワンフェス語る事で所属不明な神様になったつもりなのかのぅ…… 作るより語る方が楽しいのかのぅ。それは楽しいじゃなく楽(ラク)してるだけだ。つまらん。
 ヨコ乳にそれたので閑話休題。当ディーラーにおいて本作はフィギュアのカテゴリーに入る。おおまかにお肉のあるのはフィギュア、それ以外はフィギュアじゃないという分類。さすがに貯金箱以外のバリエーションが生まれることはない。
 双極球体のシルエット誕生も偶然。乳首先端の皺々モールドも粘土ギュッギュッと盛り上げて寄せた時に出来た皺をそのまま流用しているだけである。偶然をコントロールできるほどクリエイティブな資質は持ち合わせていない。一期一会の場所で手に入れてくださった3人の神様に感謝。偶然でなく縁だった事を祈ります。
半種ちゃん覚え書き
半種覚え書き  立ち寄られた女子の方から“この卵からこの天使ちゃんが出てくるんだ”とシチュエーションを声に出されるとスゲー恥ずかしかった。モデルだけでなくパッケやポスター撮ってく率も高いので、スルーされるよりはるかに光栄なお披露目だった。
 とは言うものの、このシルエットになしがしかの物語を想像させる魅力はない。作者が何も考えてないし、中世の芸術家が裸体を表現するために宗教を隠れ蓑にしたほどの内なる衝動もない。すっぽんぽんにした時どうポーズ取らせるかを考えなかったので、羽根と卵をポージングの埋め合わせしたのだと思う。当ブースへよく立ち寄ってくれる方には背中のラインを評価してもらう。お尻はこだわってないから弱点とも。全身くまなくこだわりを注ぐには煩悩足りないと自覚する次第。
 りすぺくとちゃんの時スルーした意識的な女体表現。やり込むほど奥行きが広がる世界だと体感。とても面白い。エロも蠱惑も足りないフィギュアに関わらずめとってくださった2人の王子様に感謝。蓋に使ったササミ缶はマヨネーズで和えてパンにはさむとおいしいですよ……って、もう食べてくれてる事を祈ります。
エトセトラ 取りこぼしやらブースの外でパチった周辺のあれやこれや
複製一覧 半種ちゃん複製一覧(7.17)  こうして並べると卵がいちばん目立つ。曲面形状の魅力がギュっと詰まったパーツ。卵との縁はまだ続く
フォークリフト フォークリフト(7.23)  「徒歩ディーラー搬入口」の看板を運んできた二人の兄ちゃん。搬入開始が16時半。看板設置は15時半前後。やっぱ来るのが早すぎた。飛行機一便ずらせばちょうどいい時間に到着しただろう
幕張メカ 幕張メカ(7.23) ホールとホールをつなぐゲートの上に設置してあった。なんの装置かさっぱり判らないがメカメカしさに目が入った
開場直後 開場直後(7.24)  ホールを駆け抜けていくディーラーだか一般だか判らない人の波。意外や成人ブースへの奔流はなかった(もちろん行列ができるディーラーはあった)。フィギュアにエロ以外の価値観を求める層の方が多い事を目の当たりにする(単なる偏見)。
 かなりの仕様変更による開催だったので、主催者側からの一言あるかと思ったがスルスルっと始まる(募金関係のアナウンスもなし。このイベントならけっこう集まったんじゃないかと思う)。音割れのひどさは相変わらず。日本一の規模を誇る展示場にしては貧相すぎる音響設備
紙バッグ01 定点観測(7.24)  ブース前を一番通っていったのが「あみあみ」の紙バッグ。ワンフェス参加した頃(2002)よりワンフェスの公式紙バッグ遭遇率はグッと減っている。500円は高いのか?
紙バッグ02 「あみあみ」の次に多く通り過ぎた「ムービック」の紙バッグ。キャラよりデザインのスッキリ仕様。ボケ撮りなのが残念
乳少女 釘付け1 8-06-10「ANIMAL OFFICE and KOROKO」さんのクローン・エリーナ・アド嬢(オリジナル)。開場前に時間出来たので成人エリアだけグルッと回り、グッと惹かれた作品。ピーキーなビジュアルは成人エリアならでは。ディーラーのレッドゾーンが当方より5千回転くらい高め
ダルマ少女 釘付け2  8-08-05「ぼくたちのモンブラン」さんのトルテ・プティデュラン嬢(オリジナル)。綺麗、可愛いのベクトルより中年デブオタアマディーラーはこちらに魅かれた。フィギュア作るなら照れ隠しは要らない。勉強させてもらいました
差し入れ 支援物資  前回焼きそば差し入れてくれた方が再訪なされ、スクランブルサンドとお茶を差し入れていただく。かさ地蔵みたく恩をいただいてもご利益を返せない情の薄い中年デブオタアマディーラーになんという情を……
 同郷というだけでかくも恵んでくださるのは申し訳なし。物欲しげで所在なげな表情は極力隠しチョイと小腹に入れる位は持参いたしますので、数多のディーラーが出展する作品にこそ出費していただきたい。たった1日の祭典だもの。サンドイッチはおいしくいただきました。ありがとうございます。
イベント覚え書き
 隣のディーラー卓は最後まで空きのまま。よって成人ブースの最後尾ディーラーはラブタコスさんになってしまった(別に特典はない)。人の流れもゆるやかで手持ちぶさたでお釣りもないので、向かいの島で売ってたキャラクターTシャツを購入。今ワンフェス唯一の買い物(Mサイズだがゆったりめなので楽々フィット。部屋着として使用中)。10時40分頃から通路の密度が上がり始め、11時頃には人の流れが強くなる。女子比率も気にならないくらい上がって外との違和感はなくなる。だが女子の人はこのエリアに来て買う物があるのだろうか?
 13時前、藤本窯時代から寄ってくださるプロモデラーのKさんが来訪。今回のワンフェスには浜松町時代の空気があるという。スケールモデルのディーラー参加が多いそうで、版権取扱公式停止措置がかえって出展ジャンルを模索するイベント黎明期のザワザワ感を呼び戻したのではないだろうかと思う。時代に立ち会っていない人間からすると、一時的にでも似た空気に触れられる機会を得られたのは幸運。ここに来ているからこそのご褒美である。
 節電対策で空調抑えめというが、イベント戦闘服のチャイナ着てても大丈夫なくらいいい塩梅。涼しかったりとか温かったりとかすると却って寂しい空気になるんじゃないか? 16時すぎ、目標レベルがものすごく違うIさんが来訪。車輪の作例を持参されており、その精度に驚くと共に波動エンジン製作へのヒントを授かる。多少のゆがみや仕上げなどスルーして作ってしまう当方にとって、タイムスケールが年単位のモデルを作り続ける方の集中力と作品に寄せる愛情は尊敬に値する。周りがせっつくような事でもない。イベントに価値を見いだす凡人は完成へのエールを送るだけである。
 17時に終了のアナウンスが流れ、今年の夏が終わる。売り上げはにゅうにゅうちゃん3個、半種ちゃん2セット。売上げでワンフェス参加ディーラーの価値を測ると見誤る。序盤はボーッと立ってるだけだったが成人エリアに人が増えるにつれ、当ブースへお立ち寄りの方との対応で終日を過ごす事ができた。版権物置いてなくても常連の人にお立ち寄りいただいた。
 出展すれば興味持ってくれる人がいる——これを体感できるからディーラー参加の価値がある。欲しいものをいくら買えたやら完売札を何枚貼れたやら以外の喜びがここにある。ま、負け惜しみも混じっているが弱小アマチュアソロディーラーなりの価値観があるのである。
まとまりなきまとめ 小さな門の内と外
成人の門
 成人ブースはフェンスで分けられている上、一般ブースとの間隔を広く取ってあって非常に隔離感をもたらしていた。21世紀から参加してもワンフェスは大きいお友達同士が集う場所という意識がある。草創期や成長期はさらに濃い空気を発していたと確信する。
 大人の中でも成人モノとそれ以外という意識が出展品へ植え付けてしまうのはつまらない。両方楽しめなくても許容できるのが大人の器。未成年を閉め出すという判断は主催者の判断で結構。ビッグサイトへ戻れないならいたしかたない。
 禁止エリアが1ホールくらい占め、エロやスケールやキャラクターものが一緒くたに並ぶ状況こそ、中年デブオタアマディーラーが理想とするワンフェスになるんじゃないかと思った次第。求めるのは老若男女みんなが楽しめる世界でなく、文字通り“そこにワンダーはあるのかい?(© 脳爆おたく先生)”という問いに答えられる密度を持った空間である。
撤収風景 閉会1時間後の8ホール。撤収が終わったホールは夢の跡すら残らない
 これにて今回のワンフェス参戦記は終了。『湾岸ミッドナイト』思想に感化されているため、チューンドカーとガレージキットを同じ立ち位置に置いている(劇中で語られる“ルールを犯してもマナーは守る”という考えは原作を読了された上でご理解を。フィクションの中ではとても生きる言葉である)。
 チューンドカーとガレージキット。作り手(原型師)と乗り手(モデラー)との関係。オートマや電子制御(カラーレジン・塗装済み完成品)の恩恵とそれにダダ乗りせず、自らの意志を反映させる意志(カスタマイズ)。社会的に認められなくてもいいじゃないかという達観がアマチュアガレキディーラーにはビンビン来る。
 メーカー主導の商品展覧会だったら模型に興味持つこともなかった。プロの作品だけ並んでいても同様。サーキットではなく公道にこだわる走り屋と中年デブオタアマチュアディーラーのメンタリティは背中合わせ。同人誌活動からスライドしてきたのだから当然か。
 雑多であることを活動のベースに置く身としてオリジナルオンリーでも良かったんじゃないか……今回のワンフェスは別の可能性を見せてくれたのである。買い物の祭典じゃあ魂は震えまいて。さ、最後まで負け犬っぽいのぉ…… ワンフェスは通常軌道へ戻ってもこっちの立ち位置はもう戻らない。まずは言葉に出して自分を縛る臆病者の次なる歩みを待たれよ。
(2011.8.11記)
製作コスト一覧 ※ポップ関係の出費は除く
ポリカ止定規
瞬着(ゼリー状)×2
ユニ金具(L型)
アルミ板(3mm)
プラパイプ(21mm)
蝶ナット
ノブボルト
アートクレイニューファンド×7
ワッカーシリコーンM8017
ワッカーシリコーンM8012×8
WAVEレジンキャスト(白)×2
ファインモールドご機嫌クリーナー×2
シンナー(250ml)
エアブラシうすめ液(110ml)
クリアーオレンジ
ミスターカラーGX(白)
ブリリアントピンク
ビーカーセット(500ml×2
365
256
178
1,370
515
25
143
3,087
2,375
19,000
6,278
2,100
630
315
168
210
210
367
計量カップ(30ml×8)
シッカロール
サンドペーパー(#120)×4
サンドペーパー(#240)×4
サンドペーパー(#400)×4
両面テープ×5
引っ越しテープ×2
セロテープ
仮止めのりスティック
マスキングテープ(18mm)×2
スポイドセット
細筆×3
のりパネ×4
スチレンボード(1mm)×4
PPシート×4
下敷き×3
合 計
250
309
336
336
336
525
210
105
105
462
189
504
420
420
420
315
42,834
 出展数も少なくサイズも小さく複製も各1ダースという小回りの良さがコストに表れている。交通費・宿泊費込みだと二泊三日の10万円パック。同じ地方からのコミケ一般参加者の方がはるかにお金持ち上京しているのは間違いない。主催者には及ばずともイベントの前日から終了まで腹一杯関われるのである。実にお得な立ち位置。
 立つのは簡単、手を動かせばいい。結果は判らんが行為が無駄にならないってだけでも素晴らしい活動なのである。
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