海洋性フィギュア製作篇 ‹‹ ラブタコス戦記130210 ›› しまがる〜ちゃん製作記 ダウンアイコン
 今回参加のモチベーションは1年間の空白を相殺するための雪辱戦。つまり参加できた時点でほぼ解消したことになる。前日に会場ゲートをくぐったそこには以前と変わらぬ光景が広がっていた。「ワンダーフェスティバル2013冬」in幕張メッセ。後はもう余録なのだの当日記録。
8-09-13 LOVETACOS ブース全景
ブース全景 ブース後方  レイアウトはいつも通り。今回、アナウンスの声がよく聞こえる。館内の音響が整備されたようで気持ち良い。アニメにおける命令系統のアナウンスが交錯するシーンに馴染んでいると、いままでの不明瞭な館内放送は場の雰囲気を壊すものだったので。
 開場前、模型雑誌の取材班に写真撮影される。ディーラー立ち上げてこの方、専門誌にラブタコス製のガレキ写真は載った事ないので意外な出来事。あの雑誌は紐綴じだったりして中身確認できるかは不明。
 10時に拍手とともにスタート。ブース正面が成人エリア入場ゲートなので人の流れがよく見える。前方は通路というより広場になってるのでDダッシュも散発的な光景。雪崩をうって駆け込む入場者というのはなく徐々に成人エリアは埋まっていく……
 なんかユルっとしてないか? ひょっとして入場者の第一目標は企業ブースなのか? 企業ブースの紙袋持ってゲート通る方々を見るとそう思ってしまう。ホールがザワザワし始めるのは開場から30分経ってから。11時50分のメモでもザワザワ少ないと書き留めている。同じく14時45分からダイレクトパス入場者が増えてくるとメモ。15時37分のメモでも少ないと書いている……
 公式サイトでは5万人の大台を超えたと表記があるのにこの心象はどう解釈したものか。正面がコスプレ更衣室へ向かうレイヤーさんの行列だったんで目の保養には事欠かなかったというに。今回一番の世間ズレがざわめきに関する認識の違い。
波動エンジン覚え書き
波動エンジン 波動エンジンパーツ ワープ突入:5基/ワープ成功:5基
 いびつさ丸わかりの複製見本を提示しても、活動初期から立ち寄ってくださるプロモデラー氏からは“ガレージキットはこーゆーもの”だという寛容さで購入していただいたり、あまりガレキをたしなんでいないと思われる20代女性からは“3Dプリンターで作ってるんですか?”という高下駄コメントをもらったりした1年遅れの本アイテム。むろんプロモデラー氏の目にはゆがみがバッチリ映っていたことだろう。ベレー帽かぶった女性からパッケージ褒めてもらったのがせめてもの救い。生業脳が活性化する。
 とはいえ、一度は版権許諾の下りなかった本作をこの場所でお披露目できた事は嬉しい限り。Webでの公開するのは起こった事を記録する意味合いが大きく、立ち寄ってくれた人と対面で言葉を交わし、あまつさえ購入してもらえるダイレクトな交流が発生するからこそWebに反映される。すべてが快適な会話で終わるものではないが、ここに来なければすべては始まらない。記録の参照と体験では刷り込みの度合いが違うのだから。
 ラブタコス版波動エンジン。このサイズ(350mm)でこのディテールは21世紀に置いてけぼり。それでも作った人間が思うのは“他のディーラーが、メーカーが作ったヤツを観たい”に尽きる。それもオリジナルの再現度より原型師がどう解釈したかという原型師フィルターを通過した部分を。人気フィギュアなら当日にでもかないそうな事であるが、さてどうだろう? 『2199』の追い風で模型雑誌がやってくれたら可能性は高そう。歴代波動エンジンそろい踏み特集とか。情報は一人ではいられない(使い方がヘン)。
1974≠2199
 時節柄『2199』の話題が会話に出てくる。2話で挫折しているから作品は語れない。最終話までリリースされ、レンタル店に並んだ時に観ますと答えるにとどまる。それまでに1974の基礎知識が2199の設定名称に浸食されない事を願うばかり。『帰ってきたウルトラマン』は新マンや帰りマンであり、ジャックじゃないのだよという意味で。固有名に対する上書きは波動砲の発射並みにデリケートにやってもらいたいもの。後代の人間が勝手に歴史を改訂する愚挙は無視しても情報が染み込んでくるので防ぎようがない。目や耳をふさいだら欲しい情報も止めてしまう。
遊星爆弾貯金箱覚え書き
遊星爆弾 遊星爆弾パーツ 発射数:5発/着弾:5発
 これまで作った中で最もストレスなくチャッチャと作れてコンセプトと対象のマッチングが良かったガレキ。原型師デビュー作「遊星爆弾ランプ」の半球だけが遊星爆弾というウィークポイントを克服できかつ実用性を併せ持つアイテムにもっていけたので。「にゅうにゅうちゃん貯金箱」の変化球なのは公然の事実。もう少し早く気づいていれば「ガミラス星貯金箱」や「地球2199貯金箱」もシリーズ化していた所だ(作りません。為念)。
 11時前には完売したので実用ガレキの世界はまだまだフロンティアが広がっている。複製見本は当初波動エンジンと同じくミニ座布団に乗せて展示する予定で100円ショップへ行ったものの洋風のハデ座布団しかなく、急遽紙皿と紙の緩衝材買って鳥の巣状のベースを作成。思いの外うまくいったので「にゅうにゅうちゃん貯金箱」の複製見本も同様のベースで展示。イレギュラーに対応したらそっちが気に入ったという一例。同じシルエットのガレキ作る事があればまた使おう。ディーラー参加すればディスプレイのスキルも上がる。
にゅうにゅうちゃん貯金箱覚え書き
にゅうにゅうちゃん にゅうにゅうちゃんパーツ 乳出宅:9乳/乳帰る:8乳
 本作を通りすがりのカップルが見ると、十中八九女性の方が“に・ゅ・う・に・ゅ・う・ち・ゃ・ん”と作品名を発音する不思議。造形よりネーミングの方が受けがいい。女子向けになんらかの信号を出してるのか?そんな部位ではあるが……
 隣のディーラーさんが牛の乳部分がセパレートで取り付けられる水着の女の子フィギュアを出展しておられナイスなアイデア(版権ものかは不明)と思った。鈴なりのカメラがそれを裏付ける(まず可愛いってのが確保されていてこそだろうけど)。こっちは2つであちらは4つもついたるからなぁ(負け惜しみ)。
さらばスケブ書き殴り?
完売スケブ  13時半に波動エンジンも完売。版権アイテムの訴求力は大きい。オリジナルは身の内から出てきた率が大きいので愛着がある。だがここはワンフェス。共有できる情報をカタチにしたものが人を結びつけるのはむべなるかな。初めて会う人とすぐコミュニケーションできる率は高い。「にゅうにゅうちゃん」には物語も世界観も手や足もついてない非メディアの立体化アイテム。偶然の海から産まれた存在は下駄を履かせることができない自分の実力100%が評価される……ウェットダメージ貯まるなぁこれは。
エトセトラ 周辺で起こったよしなごと
キャリーカート 自作キャリーカート  小径ホイールによる走行性の悪さを考えても分解組立式で携帯性に特化したメリットは大きい。ゆっくり運べば大丈夫。次に使う機会があればもう少し手を入れ安定性の向上を図ろう
荷物集積所 荷物集積所  全国津々浦々より集い逸品の数々。自ブースから4ホール先にあるため運搬にはキャリア必須。車で搬入できるディーラーさんはうらやましい限り。自分の送った荷物探すと現場に来たんだという臨場感がプラスされる
前日設営 前日設営終了  荷物をブースに運び、テーブルに紙を引いてディスプレイスタンドを用意する。これだけでも当日の作業は1時間あまり軽減される。ソロディーラーは開会時間までのわずかな見学時間をここから捻出するのだった
大日本技研 よそ様の前日設営  今ワンフェスのランドマークとなった「大日本技研」さんのペーパークラフト1/1スコープドック。組み立て前のパーツを拝めたのは前日設営の賜物。祭りに山車はよく似合う
戦闘用工業重機01 異形なるもの  自ブースのある島(8ー09エリア)のちょうど後ろ側に出店されていた「戦闘用工業重機」さんのフィギュア。一見しただけではどんなカタチで構成されているのか判らないシルエット。背後から撮らせてもらったのはディーラー参加の役得。ぐるりと回れたのは成人ブースのみ。そこで一番ひっかかった作品。
戦闘用工業重機02 参照イメージがあるのかも判らないシルエット構成
紙バッグ01 ノベルティ定点観測  ブースからみた所持率の高い企業PRアイテム、紙袋。これと右は「あみあみ」(両面)。ワンフェス公式紙バッグはぽつぽつ。有料というネックが大きいか。一回り小さいヤツがあれば回遊率増えると思う
紙バッグ02
紙バッグ03 「キューズQ」
紙バッグ04 「オーキッドシード」
紙バッグ05 「ホビージャパン」
紙バッグ06 あ、欲しいなと思ったのは「コトブキヤ」のクリアブックホルダー。ガイドブックには無料配布と書いてあった。日常でも使えるなコレ
11:09 密 度  成人エリアの仕切りとブースの間隔がやけに広く感じた。後日ネットでワンフェス関連のレポ読むと過去最大の入場者数だとかいうのだが、2011年より静かに思えてならなかった。人が多い場所で発生するザワザワっとした喧噪が耳に届かない。それだけ整然としていたということか?
14:13
16:34
まとまりなきまとめ ─ここから何が見える?─
撤収風景 17時55分ごろの自ブースからみた8〜7ホール。サークルブースはワンフェスで一番居心地のいい場所
 15時前に疲れを意識し始める。気力も体力次第。現役病人なんでやむなし。椅子に座ってしまったらライブ参加はそこで終了。やがて17時の閉会アナウンスが流れ、拍手と共に無事終了。“あの作品はどこまで進んだのだろう?”と思っている作者の方が訪れてしばし歓談。復活の戦場であるワンダーフェスティバル2013年[冬]参加の末尾を飾っていただいた。
 今回でヤマトを含む松本様式へのアプローチは終了。それと共に半チクオタクが作りたい版権物は底をつく。それが困るかと言えば困らない。観たり読んだり聴いたりする娯楽はそれを享受するのが前提。オタクじゃなく愛好家として接すれば事足りる。ここに来ようと思わなければ……
 ここはデパートでもコンビニの一番クジ売り場でもなく模型の展覧会でもない。祝祭の場所である。祭り(ワンフェス)における山車(ガレキ)を曳いて何某かを昇華させる担ぎ手(ディーラー)という位置付けは、自省の時期を経て参加しても変わらなかった。
 オタクの遺伝子が多いオリジナルも少ないアート寄りな作品も買うだけの完成品もブースを連ねるイベントにワンフェスは変わっていく。出展作品のレベルも右肩上がり。とりあえず昨年貯まったモヤモヤした気分を一掃することはできた。この先初老の階段を上る地方のアマチュアガレキディーラーの参加欲求が臨界に達するのか?すべてはこれからの出会い次第。ご縁があればまたこの場所で。
(2013.2.28記)
ガレージキット製作コスト一覧 ※一覧は新規購入分のみ。買い置きのファンド粘土、塗料等は除く
ブロクソン ドリルスタンド
瞬間接着剤×2
ブロクソン カッター
眼鏡ルーペ
ブロクソン 砥石
ポリカップ
ダイヤモンドやすり・角
10,500
210
2,190
10,815
1,350
302
229
Mrカラー×4
ダイヤモンドやすり・半円
ほいく粘土×4
ワッカーシリコーンM8017×12
WAVEレジンキャスト(白)×3
合 計
840
229
940
29,760
9,417
66,782
 原型製作に使用したファンド粘土は買い置きを使用したので除く。一番役に立ったのはドリルスタンドと眼鏡型ルーペ。もはや肉体の機能を補助するデバイスなしではファンド粘土も削れない。それを除けば前回かかったコストとそう大差なし。半年に一度と考えれば海外旅行よりお安い出費で世界一大きい造形の祭典へ演者として参加できるのである。なんともリーズナブル。地方在住者には首都圏旅行のおまけまでついてくるのだからお得である。
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